香港国際学園〜第二部〜二章 65
影汰と奴隷ズ(主に雪菜)の中等部時代から…とやらのいがみ合いは今なお健在、本気で殺し合いをするに至らずとも、ふとしたジョークに命の遣り取りが含まれている。
香港国際学園『かつて』魔人どもの集いし、性と暴力の都。
そう、光樹がいくら奴隷ズと腰が抜ける程のファックを繰り返しても『暴力』と言う条件に関しては、影汰に一歩譲らざるを得ない。
低俗マンガの中のギャング同士のコミュニケーションを見守っていた中、光樹の頬を濡れ羽の黒髪が撫で付けた。
『だから言ったでしょ、アイツが気に入らなければ、何時でも始末してあげるってさ?』
夢か現か幻聴か、桜川光樹の中の『桜川ひかる』が繰り返す。
『格下に、何かと『兄貴』ヅラされてるのって、ムカつくよね?』
気のせいか、その『兄貴』と言う表現が耳に残った。
まるで彼女自身に『鼻持ちならぬ兄』でも居るかの様に。
その静止した時の中、白昼夢の様に現れた制服姿の『ひかる姫』、こうしてよくよく見ると、自分より幾らか年上なのではないか?と光樹は思った。
『そう、君には…僕だけのお兄ちゃんでいて欲しい…。』
そしてどこか話がおかしい、少なくとも彼女は何時ぞやの白昼夢に現れた『ひかる姫』に間違いはない筈なのだが、光樹の『別人格』っぽいソレではないような…?
『あなた、誰?』
『え?あ?だから僕…ゴホン!わたしは桜川ひかる…貴方の中の…。』
『あの…制服姿に無理が…多少その、年齢的に…。』
『うぐっ!?』
いわゆる『深読みマニア』並の直感を持つ光樹の基準にしてみれば…こーゆうマンガとかでアリガチな『怪しい奴』って、どこをどうすればバレない確信があるんだろー…ぐらいな認識であった。
取り敢えずこの女が『ひかる姫』ではない事も含め、光樹は軽くムカつきながら幾つか気付いた事があった。
年上にも関わらず光樹に『お兄ちゃんフェチ』を抱き、何かと機あらば影汰の排除を試みる、デンパな女。
そしてある種との『同類』の匂い…例えば理事長、立花先生や今泉先生、バイト先『メイド喫茶ぬえ』の店長、あまり面識は無いが警備員の銀城刹那。