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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 57

一転、我が子を慈しむ母の姿…ふくよかな胸にルーファスをかき抱き、その哀れな子羊が如き少年の滑らかな金髪に頬擦りする。

「私闘スタジアムだっけ?何てことない男の子達が最強ヒーローを目指す…素敵な舞台だ。」
…ぶっちゃけ光樹くん以外、ガチでミンチにしちゃりたいんダケどさ…それじゃつまんないんだよね…

僅か数分の遣り取り…その頬を擽る濡れ羽色の髪に、母の虚像を抱いたルーファスが取込まれていた。
幻術の類…というよりも敬謙なクリスチャンである(暴力神父のノリではない常人基準の)信心深さと、
孤児の生まれである彼の心の隙間を突いた…巧みな話術による洗脳といった方が正しいか。

「…ママ…」
「うん…そうだね?君の実力で『それなりのヤツ』を仕留める事が出来たら…。」

…うっわマジかよ…マトモな女の子だったらドン引きモンじゃね?…まぁ光樹くんを『進化』させるに適した『食材』の一つだし…

「僕が君の…ママになってあげる…。」

ルーファスは母の虚像に惑わされ、夢うつつ惚けた顔を誠二の胸に埋めていた。

「んじゃ…頑張ってねぇん?」
「え…?」
ルーファスからすり抜けた誠二の後ろ姿が、刀機の時とまた同じく…霧の如く掻き消えて行く。

「ま…待ってよ…行かないで?」
もつれる両の足に活を入れ、必死で追いすがる。

「ママ!」

…そして時は動き出す…。
「ルーファス…どういうつもりだ?」
「ママ!もう何処にも行かないで?僕を捨てないで…ってアレ?随分『小っちゃくなった』様な…。」
誠二が人払いの結界を解いた矢先…ざわめく道場。

あやふやな記憶、ただ『ママ』という単語だけが鮮明に残るのみ。
「僕は…夢でも見ていたのか…そうだよね…こんな所にママが居る筈ないんだ…。」
「私の身の回りの仕事とか、私に内緒の仕事とかで疲れておるのかもしれんが、いくらなんでも『ママ』はないと思うぞ?そしてまず離せ?しかもまたなんかヘンな臭いするし?」

腕の中、『虫を見る目』で見上げる花鈴お嬢様…ああルーくんよ、またやってしまったか…神に選ばれし(間の悪い)ラブコメの申し子よ。

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