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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 53

「ふーん、まあ早く直してやれよ、大事な物なんだろう? それ。」

ええ、と頷き返して、ルーファスは「前にもこんな事があったな」と、ふと過去のことを思い出していた。

東雲家に雇われて日の浅かった当時のルーファスは不注意で一度サックスを壊してしまった事があった。
花鈴は明らかに様子のおかしかったルーファスから無理矢理事情を話させ、親に頼み込みサックスを直してルーファスに返した。


「もうこんなに壊すなよ、大事な物なんだろう?」

その時に花鈴の言った言葉は今でも覚えている。
ルーファスは我知らず、花鈴の頭を撫でていた。

「んなっ! お前なんでそこで私の頭を撫でる!私を子ども扱いするなと何度言ったら…!」

「いえ、昔を思い出したらつい……それに、もうあんなに壊しやしませんよ、とても、とても大切なものですから。これは」

破顔一笑するルーファスに先程まで怒っていた花鈴の様子が一転、顔を赤らめて、照れ隠しに「そうか」、と短く切り上げて足早に練習場に向かったのだが……


「いきなりどうしたんだろう? 変なお嬢様…」

F組の中でも常識人のカテゴリに入るルーファスも女心の微妙な揺れには全く気付けずに悩みながらも他の生徒(主に女性徒に)からかわれながら練習場に向かった。

なんか早速、理不尽貴族ヴィンセントが『新しい技の研究』だとか、ガ○グレイブばりに鎖で繋いだ棺桶…もとい弁当箱をブン回し、ダミー標的を粉砕していた。

「ねー?ヴィン?嶺那ちゃんの姿が見えないんだけど…?」
「ふむ主よ、あやつの事だ(ぶんぶんぶん!)辛い練習に音を上げて(どんがらがっしゃん!)そこいらで血反吐でも吐いているのではあるまいか?(おえろえろえろ)」

ヴィンセントがガ○ダムハンマーよろしく振り回す棺桶から、吐寫物特有の酸っぱい臭いが漂ってくるのも気のせいだろう。

ルーファスは『もう一つの楽器ケース』を下ろし、練習用のタマを装填する。
彼の役割は音波による特殊能力だけではない。

中身は分隊機銃と榴弾銃を軽量コンパクト化し、一つの楽器ケースにまとめた複合武器…いかにも前線で華々しく活躍する選手を、支援する用途の武器であった。

「ガ○キャノン…どころかガ○タンクだな。」
…と幼い頃、孤児院で見ていたジャパニメーションの脇役と、自分の姿をダブらせる。

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