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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 34

結界故に、彼女はその能力の大部分を結界の維持に当て、決して動く事はない。
あのオトコギドラとて、大部分の能力を結界に当てたまま彼女一人で『料理』できる相手だが、それでも動く気は彼女には無かった。
「わたくしとて我慢には限界がありますわ…こう学園内で悪魔や神の暗躍が多いと…」
彼女は共にお茶をたしなむ男性に美しい柳眉を少し寄せて嘆息と共に言う。
「神とか悪魔とか言う連中は、全面戦争する気がないからここで代理戦争しているのは事実だけど…」

お茶をたしなむ男性はそう言いながら主姫に苦笑を見せる。
「多少は目を瞑ってくれないかな…『全面戦争』させたい連中も暗躍しているし…その上、君が動いてしまうと、本当に全面戦争になる…」
「その為だけの『光と影』だとおっしゃるのかしら?…刀機の事と言い、その『影』と言い…十数年がかりで一体何をしようとお考えなのかしら?」
優しげな笑みの中に鋭い刃物が見え隠れする主姫の言葉に、相手の男性ははぐらかすような表情で答える。

「辺里影汰と綾瀬雪菜…中等部時代、怨恨から衝突を繰り返した末、死亡。」(外伝四章…?)
「おやめなさい。」
公主の囁きに微かな怒気が孕むも、お構いなしにその様子を楽しむかの様に男は続ける。
「星野聖夜、本来普通科レベルの能力者『二条の光』の片割れとして一年A組に入学…だった筈。」(第二部パート1…?)
「やめろ…と言っています…お願いではなく命令でしてよ?」
彼の語る内容…起きた筈の『なかった事』とされた歴史。

「そういや『ある一人の生徒』が、水爆と同化し人間抑止力となった…なんて話も…。」
あの公元主姫の奥歯を噛み締めさせる程の『妄言』であった。
しかし例えばの話、具現化能力…その究極の形態に『モノ』だけでなく『暦史』まで創り出すチカラであるとしたら…。

「今の所は偶発的に、そして概ね何かしらの悲劇を回避する為、或いは『必要以上の武力』の排除の為に発現しています…が。」
男は一旦、句を切りカップをその薄い唇に運ぶ。
「まさか次は自分…という事もあります、どの勢力もピリピリしますよ。」


倶利伽羅が精神の死んだ娘に刀機を『組み込んだ』事と言い…彼が光樹を鍛えようとしたりする事も、恐らく彼が『具現化』能力の可能性を重視している事に他ならない。
そして、主姫の前でお茶をたしなむこの男も…彼と違う形でアプローチしている『仕掛人』の一人である。
それだけでない…
『性と暴力が異能力の向上に大きく起因する』と言う事実と、香港国際学園が(多少変化したとは言え)その『性と暴力』の巣窟である事実…

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