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俺が魔王?
官能リレー小説 - アブノーマル

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俺が魔王? 4

「魔王様、大変申し難いのですが……
 女の魔族は全て捕獲もしくは討ち死にいたしました」
「なっ!?」
女が居ないだと!
おいおい約束が違うじゃないか、クソジジイ!
「どう言う事だよ!酒池肉林じゃなかったのかよ!」
俺はジジイに掴み掛かり締め上げる。
「お待ちくだされ!
 女魔族が居なくなってしまったからこそ、魔王様のお力が必要なのです。」
「どうしてだ!」
「人間を魔族に転生させる、それが魔王様のお力ですぞ」
……俺の力?
とりあえずジルバを掴む手を緩め思い出してみる。
魔王の力…転生…あー、思い出した。
そうだ魔族は女が生まれない欠陥種族、それを存続させて来たのが魔王の力。
人間を魔族に転生させ子供を作らせる。
女魔族を作り出すのが魔王のメイン仕事。
荒事は二の次だったんだ。
だが前の魔王は争いの方が大好きで、女の補充を疎かにしその結果、この有様か……
なるほどな絶滅危惧種と言われている理由が、ようやく分かったぜ。
どうやって女の補充をしていたのかも思い出した。
人間やエルフなどの亜人の女を拉致しては、魔族の細胞を埋め込んで培養器に5日間漬けて待つ。
培養槽無しで単に魔族細胞を埋め込むのだと転生に3か月かかる。
直接俺が妊娠させても転生できるが、当然転生に10か月かかるし、魔族の管理下に置かないと堕胎されるから1からやり直しだ。
切り札としちゃ俺の技「デモン・リインカネーション」で一瞬にして変えてしまうこともできるが、どの方法にしても捕らえた女や転生させた女を敵地に置いてはおけないから、連れてくる必要がある。
人間の奴らだって馬鹿じゃないから女を疎開させたり、冷酷な権力者になると疎開させられない女は殺害したりする。酷いのになると女の体に罠を仕組んで、女をとらえた魔族を死なせやがったこともあった。
俺も一度それで痛い目を見たことがある。
結局次々に拉致するか大規模に占領地を広げて、女を収容する設備を造らなきゃならない。
前の魔王はそういう地味な仕事が面倒だったらしい。その上無性愛者だったらしい。勿体無いことだ。
いっぺんに人間をなぎ倒そうとして失敗したんだった。
「魔王様。ご覧ください」
「何だ」
見慣れない顔の元老院議員が書類を出してきた。
「誰だお前は」
「先日元老院に加わりましたリュストフでございます」
書類に目を通してみる。
「ペーパークリップ作戦?」
魔族の領域に比較的近い女子修道院3つを同時襲撃する作戦案が書かれていた。
「修道院ということはレニレ教か」
「左様にございます」
おお、とどよめきが広がる。
大地の女神レニレの聖職に入り、深く信仰する女たちは女神レニレの恩寵により妊娠せずして母乳を産し、その母乳は病を癒すという。
人間側の宗教の中でも珍しい、聖職者の純潔を求める教派だ。だが…
「レニレ教徒はそんなに増えたのか?」
「はい。魔王様が身罷られて後、人間どもは安心したのでしょう。北へと教勢を拡大したようでございます」
俺はニヤッと笑って言ってやった。
「面白い。やってみようではないか」
「ありがとうございます」

リュストフ元老院議員が一礼する。奴は比較的若い魔族で、女たちなら多分「ハンサムな青年とハンサムなおじさまの境目」だと思うのだろう。


それから俺は、議場で元老院の連中と協議を行った。
軍部を代表して、オーリスが説明を行った。さっき出迎えにきた大男だ。
どうやら捕獲された女魔族達で生きている者はサウスアリア大陸の収容所に送られたらしい。
何分一番南にある大陸だからすぐに解放しに行くのは無理だろう。
提案としては出たが、結局のところたどり着くはるか以前に気付かれてしまい、解放しても連れ帰る段階で酷い反撃を受けて失敗に終わるという結論になった。
そもそもの問題として、どう考えても兵力が足りない。
俺はこうして、退屈な、だが重要な会議を…前の魔王が死んでからの状況説明が大半だが続けている。


「疲れた……」
各種報告を一通り聞き終え、俺が議会から解放されたのは、真夜中を過ぎていた。
いくら前魔王が仕事溜め込んだまま死んだからって、転生初日の俺に一気に全て処理させるなよ……
事務仕事に疲れ果てた俺は、フラフラとした足取りで用意された寝室へと向かった。
「これじゃあ会社員と変わらねぇじゃないか……
 ああ、もう眠い。とっとと寝ようっと。」
新しい自分の部屋をじっくり見る事も無く、疲れたきった俺は眠りに落ちるのだった。

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