PiPi's World 投稿小説

俺が魔王?
官能リレー小説 - アブノーマル

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

俺が魔王? 1

唐突だが俺は死んだ。
しかもかなり悲惨な死に方だったらしく、記憶の破損が激しく名前すら思い出せない。
だが死んでしまったなら、今更どうでも良い事だ。
そして転生する事になったのだが…。
神(?)だと言う存在に対して、俺は思いっきりゴネた。
だって、記憶は部分的にしか残って無いけど、糞みたいな人生だったのに、次、産まれ変わってもたいして変わらない底辺人生、とか言うんだぜあの謎の存在。
まあ、その努力の甲斐あって、俺は異世界へ転生する権利を勝ち取った。
やったぜ俺、やっぱり世の中ゴネ得だったんだな!
目指せファンタジー世界、俺はハーレムの王になる!

そして今、俺は新たな命を得て新世界に転生した。

「ここが異世界…」
綺麗な川の側で、俺は目を覚ました。
それと同時に記憶が蘇る。
この肉体の、この世界の俺の半生の記憶だ。
なんと言うか…普通だ。
普通の農村の青年だ。
なんてこった、これでは前より多少マシにだけじゃないか。
せっかく転生されたのに、美味しくないじゃないか!
期待を裏切られた事に憤っていた俺は、背後から近づく影に気が付かなかった。

ドスッ!

妙な感触がしたと思い、自分の胸を見ると見慣れぬ手が、変な所から生えていた。
「へっ……?」
何で?
俺の手は定位置にちゃんとあるぞ?
これは何だ?
「ちょうど良い所に人間が居て助かりましたよ。
 その身体、これからは私達が、有効に使ってさしあげます」
だ、誰だ。
脳が理解出来ず、痛みが未だにやって来ない。
何とか首だけで振り返ると、そこには人ならざる者が。
「あ…悪魔……だと……!?」
角とコウモリの様な羽根、そして尻尾を生やした老人。
その姿は今の俺が、子供の頃に聞かされた魔族の姿そのものだった。

ズル……

突き刺されて居た腕が、嫌な音を立て引き抜かれる。
それと共に俺の中身がこぼれ落ちる。
だがそれを押さえようする力すら入らず、膝が折れ仰向けに倒れてしまう。
「あ…あひ……ぁ……」
「おっと、まだ死なないでくださいね。
 核を埋め込んで……よし。
 さあ魔王様、復活の時です!
 再び、我ら魔族の世界を作りましょう!!」
魔族の世界だ?何言ってやがる、魔族何て今や絶滅寸前の種族だろうが。
そもそも何でこんな地域に居るんだ、こいつらもっと北に居るんじゃなかったのかよ。
走馬灯の様に魔族についての知識が思い出される。
だが思い出した所で、農民の俺の知識量なんてたかが知れてる。
結局のところ何も分からん!
段々と遠のく意識。
もう終わりなのかよ……
まだ何もしてねえよ………
これじゃあ転生した意味ねえよ……
(諦めよ……楽になれ……)
誰だ……
俺じゃない意識が入って来る。
(楽になれ……楽になれ……)
俺の意識が別の意識に飲み込まれていく。
これが死……
お…俺は……
…………
……

まだ死ねたくねえ!
俺は僅かに残った精神力を全て使って、俺を飲み込もうとする別の意識を逆に飲み込む。
(なんだと…!)
まだ何もしてねえんだ!
死にたくねえ!
死にたくねえんだよ!!
(やめろ…抵抗するな…ぬおぉぉぉ………)
急に意識が軽くなる。
それと同時に、別の意識が感じられなくなった。
あれ?何か楽になったぞ。
なんと言ったらいい、安定したと言う感じだろうか、さっきまでと比べてとても気分がいい。
『さあ、お目覚めください魔王様』
うーん、いい気分なのに誰だ騒いでるのは。
ああ、目が覚めるぅ……
その瞬間、俺は再び目を覚ました。

「おおぉ!お帰りなさいませ魔王様!」
「……誰だ、てめぇ?」
「……はいぃ?」
目を覚ますと傍には、さっき俺を殺した魔族のジジイ。
大喜びしていたジジイに放った俺の一言は、予想外だったようでジジイが硬直する。
間抜けな面だな。
「……魔王様ではない……だと!?」
「残念だったな!
 北で大敗北して俺の核だけ持って逃げ延びたのに、乗っ取りは失敗だったようだな!
 ……ん?北?大敗北?
 何で俺、魔王の最後知ってるんだ?」
「……私の名前分かりますかな?」
「はあ?知るわけないだろジルバ!
 ……あれ?」
おかしいな、知らない知識がどんどん出てくる。
「やはり魔王様です。
 意識の乗っ取りは失敗したようですが。
 その魔力と記憶が残ったのであれば、我ら魔族は何度でも復活出来ます!」

SNSでこの小説を紹介

アブノーマルの他のリレー小説

こちらから小説を探す