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喫煙乙女
官能リレー小説 - アブノーマル

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喫煙乙女 8

それに火をつけると、夜の明かりを受けた煙がプカプカと浮かぶ。
かわいい女の子の着せ替え人形が、タバコを吸いながら夜の街にたたずむ「娼婦」に姿をかえてしまった。

それからしばらくして、俺は「モデル」にする着せ替え人形を入手してしまった。金髪がひざのあたりまである女の子の人形だった。
セーラー服とか浴衣とか毛皮(?)のコートとか、玩具店で値引きされてるのを見つけては、それを着せて「タバコ」をくわえさせて写真に撮ったんだ。
最高だったのは、かなり高価な「ウェディングドレス」を着せて、「タバコ」をくわえさせたことだ。
女の子の夢である着せ替え人形と、女の子の憧れであるウェディングドレスを、同時に「タバコ」でけがしてやったんだ…。

でも、アンティークのドールの中に、タバコを吸うしかけの人形なんてのがあったゾ。テレビで紹介されてた。
よくあるかわいいアンティークのドールが、自動的にタバコの煙をプカプカと吹き出してたんだ。
昔のひとも、かわいい女の子にタバコを吸わせてみたいって欲望があったのかな。
どこか外国の人形の博物館にも、「スモーキングドール」とか言うのが展示されてるらしい。ただ、これの「タバコ」はガチャガチャのタバコと同類だったみたいだった。

あのガチャガチャのタバコは、まだ販売機に在庫があったはずなのに、急に別の商品に差し替えられてしまってた。お人形にもっと、色々な衣装を着せて撮りたかったけどね。

  → ◎ ←

高校二年生になった。団地の自治会の役員がうちに回ってきた。
忙しい母ちゃんに代わって、俺が自治会の会合に出る事が多かった。
時々自治会の用事で、隣の棟の「会計さん」の家を訪ねた。
ここには「み香」さんという女の人がいた。引きこもってるという噂がある20代のひとだった。いつ訪ねてもまず彼女がインターホンに出て、玄関には「会計さん」である奥さんが出てくるのだった。

ある夕方、自治会関係の書類を届けに行ったら、玄関にみ香さんが出てきた。
「今、母ちゃんいないんだけど。」
「あ、この書類を届けにきただけなので…」と言って大きな封筒を渡そうとした時、手をのばしたみ香さんの身体から、タバコの箱が落ちてきた。
なにげなしに拾いあげようと俺がかがんで手をのばしたとたん、
「触るな!」
み香さんに手をたたかれてしまった。
「ごめんなさい…」俺はえらいことをした、と思ってあわてて玄関をあとにした。
「いや、あの、そんなつもりじゃなくて…」
後ろでみ香さんが、そう言ったような気はしたけど。

その夜、俺はお風呂でオ●ニーをした。み香さんの「親の居ぬ間の一服」姿を思いうかべながら。


それから何度も「会計さん」に用事があって訪ねても、み香さんとはインターホンでしか会えなかった。
「前みたいに『たまたま奥さんがいない』時を待つしかないのかな。」と思っていたら、ある日「会計さん」に会って帰りかけたとき、うしろからみ香さんが階段を降りてきた。
「これを渡すのを忘れてた、って。」とバインダーを持ってきたんだ。お礼を言って受けとると、み香さんは言った。
「この前はごめんなさい…タバコの箱を見られて、びっくりしちゃって…」
俺はその言葉に返事せずに、み香さんを階段の手すりに押さえつけた。目を見開いてるみ香さんの唇に、俺は舌をぐりぐりと差し込んだ。
み香さんは一瞬あっけにとられてた。だけどすぐ気をとりなおして言った。
「なに…なんでキスなんかしたの?」
俺は言った。
「…キスじゃねえよ。アンタの口にどれだけタバコの味がしみこんでるか、味見したんだよ。」

「…味見…だなんて…」み香さんはうつむいた。「私のファーストキス、そんなものだったのか。」
「ファーストキスだって?み香さんなんか、いろんなオトコをとっかえひっかえ、キスしまくって来たんじゃないの?」
「違う…私、そんな女じゃない!」
「そうかなぁ…タバコを吸う女って、オトコ遊びが盛んだってよく聞くけど。」
「うるさい!…」み香さんは、俺の胸を拳で押さえてきた。「…なんで、女はタバコ吸ってるだけでそんなに悪く言われなきゃいけないの!」
「だって…」俺はポケットをさぐりながら言った。「イライラしてたんだ。み香さんに、これを渡そうと思ってたのに、ずっと会えなかったもん。」
俺がポケットから出したのは、新しいタバコだった。
「あ、これ…」
「うん。み香さんがこないだ箱を落としたとき、これを吸うんだなぁって思って。」

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