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喫煙乙女
官能リレー小説 - アブノーマル

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喫煙乙女 7


二学期になった。鈴が委員長を引き続きつとめることが決まったりして、始業式が終わった。みんなが下校したあと、鈴が教室の鍵を閉めようとしてたところに、俺は話しかけた。
「ひとりで、花火やってたね。」
鈴はそれを聞いて衝突するくらい俺に顔を寄せた。
「あれは…キミだったのか!」俺はうなずいて言った。
「別に…俺は…脅す気なんかないから。」
鈴は教室のドアにもたれて言った。
「キミでよかった…あの夜から、何かコワイ電話か手紙が来そうで、夏休みじゅうビクビクしてたよ。」
こんな事を言う鈴は初めてだった。
「ゴメンな…もっと俺が早く言っておけば、夏休み楽しく過ごせたのにね。」
「いや…間違ったことしてた私が悪いんだ。それに…」鈴は俺にしか聞こえない声で言った。
「毎晩こわくてこわくて、よけいにタバコ吸ってココロを鎮めてたんだ。」

俺は鈴に言った。
「鈴さんに…お願いがある。」
「…やっぱりそう来たか。何がお望みなんだ?」
俺は思い切って言った。
「鈴さんが…タバコ吸ってるところ…写真に撮らせてほしい。」
鈴は顔をしかめた。
「それ、私を不利にする材料を増やしてないか?」
俺は首を振った。
「そんなんじゃない…そんな考えじゃない…俺…俺は…」
定番になってるこの一言を鈴に伝えた。
「鈴さんみたいな女の子が、タバコ吸うの見るのが好きだから。」
 ×

二学期の終わり近い冬の夜、俺はうちのセコいリビングで、幻灯機のスイッチを入れた。
ポスターの裏側を使ったスクリーンに、学校の制服を着てタバコをくわえた鈴の姿が映った。
あの俺の告白から数日後、鈴は学級委員長の立場を使って、使われてない別棟の校舎の鍵を手に入れ、俺との二人きりの撮影会の舞台にしてくれた。
気合いを入れて、スライド用のリバーサルカラーフィルムを何本も使って、初めての喫煙乙女の撮影に挑んだ俺だった。

カシャッ…カシャッ……フィルムを入れかえて、上映をすすめていくうちに、
「キミ、すごいね…」スクリーンを見つめていた鈴がつぶやいた。
「タバコ一本持つだけで、私、こんなにいやらしい女になるんだね。」
今夜はうちの親が用事で出かけて帰ってこない。だから鈴を招いて、撮影会の成果を見てもらったんだ。
「私…すごく興奮してきた。」
そういう鈴に、俺はテーブルの上にあったタバコを一本くわえさせた。鈴はすかさず、卓上ライターで火をつけた。
タバコを手にした鈴を映し出す幻灯機の光が、鈴の吸うタバコの煙で白いかたちを現した。そしてその煙の匂いに、俺は酔いしれていった。

「上映」が終わって部屋を明るくしたら、鈴は恥ずかしそうに窓を開けて煙を外に出した。
「ねえ…」鈴がスライドの一枚を手にとって言った。「これ、焼き増し出来るの?」
「出来るよ。」俺が言うと鈴はウインクして、明かりにスライドを透かした。「セイシュンのヒトコマよね…」

でも、あの撮影会には続きがあった。撮影が終わったとき、鈴がインスタントカメラを出してきた。
「これで私のヌード、撮ってくれないかな。」
そのころ、小中学生がヌードを撮るってのが流行っていた。鈴もブームに乗りたくてウズウズしてたみたいだ。
でも…その撮影光景はよく覚えてない。それに、撮影した写真は像が現れないうちに鈴が回収してしまってた。
ただ、最後の一枚は「キミにあげるから、好きなポーズとってあげるよ。」と鈴が言ったので、俺は…
タバコくわえてる、鈴のヌードを撮らせてもらった。それしかない。
それこそ俺の「セイシュンのヒトコマ」だ。

 ───◎───

ずいぶん前に、ガチャガチャ玩具で「タバコ人形」なんてのを見つけた。
カプセルの中に、プラスチックスの小さな爺さん人形と、つまようじの半分くらいの細くて白い「タバコ」が数本入ってる。
人形の口元に凹みがあって、そこに「タバコ」を差し込んで火をつけると、タバコからプカプカと煙の輪が吹き出されてくるんだ。
面白そうだと思って、いくつも手に入れたけれど附属の爺さん人形では楽しめない。
ある日、団地の自転車置場で、近所の子の自転車の前カゴに、着せ替え人形がいくつも投げこまれてるのが目にとまった。
それを見て、思いついてしまった。
夜、暗くなってからその人形を一体持ち出した。
そして人形の口元に、あの例の「タバコ」を両面テープで貼りつけた。

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