イケないのに燃え上がる… 8
「お姉さんたち、ニワカじゃないですよね?」
二人はアオイとハルカを疑う。スミレは巨乳だし、すぐゲーマーだと分かって好感が持てる。しかし、アオイとハルカはオタクでないかもしれないと不安に感じる。
「どちらかといえば、ヌルオタかも。でも、お金目当てとかじゃないし」
「援交とか考えてないし、純粋になりきってみたかっただけ」
アオイとハルカにとって浮気は究極の娯楽で、女の性を売り物にするなど論外だった。そんなのは温泉芸者やコンパニオンに任せればいいとすら思っていた。
「だったら、アンキモ踊り出来ます?」
二人から見れば三人は美女だし、レイヤーとして名を挙げてから芸能界入りでも狙ってるようにも見えた。
作中で英国チームに負けた際の罰ゲームにあった程で、腰をくねらせる動きなど女子なら恥ずかしいものである。
「も、もちろん。ダンスなら得意だし」
アオイは意地になって答える。動画で見たことがあるし、比較的シンプルな動きなので羞恥心さえ捨てれば勝算はある。
「じゃあお願いします!」
「うん、でもココじゃちょっとアレでしょ、他のお客さんも来るかもわからないし。君たちの部屋に行ってもいい?」
スミレが口を挟んで提案する。
「いいですよ、見せて頂ければ」
「2人の評価が高かったらご褒美お願いね」
こうして彼らの部屋に行くという約束を取り付ける。
お互いに期待に胸膨らませているのは間違いない、あとはいかにうまくやれるかだけだ。
「浴衣姿も素敵です」
「君たちも清潔感あって普通のオタクとは違うかも」
「イメージ先行させるのは失礼ですよ」
「2人は、彼女とかいる?」
「…いたら、男同士の旅なんてしないです」
「それもそうかもね」
「ちょっとは同情くらいしてくださいよぉ」
むくれる少年が可愛らしいな、とスミレは少しだけ思う。
「それより、早く見せてください」
「仕方ないわね」
部屋でドタバタするのも何なので、さわりの部分だけ披露する。
コスプレイベントと同じ要領で、スミレの動きに従いハルカとアオイも踊る。
予想よりクオリティが高く、少年2人は釘付けになる。
「どう、かな?」
「本物なんですね、失礼しました」
「いや、これでも数日前に覚えたばっかなんだよ」
「この子がスポーツジムのインストラクターだからね、体を動かすことには慣れてるの」
ハルカがアオイのことを語ると、アオイもちょっと恥ずかしがりながらも誇らしげに微笑む。
「皆さんいいお友達なんですね」
「君たち2人だって」
少年の一人は、アオイが指に着けている指輪に視線を移した。
「結婚されてるんですか?」
「ううん、まだだけど…一緒に住んでるだけ。でも、将来的にはそうなりたいなって思う」
ハルカがフォローする。
「私たちもなの。でもね、今だけは君たちと…ね?」