女男×男女 5
それにしてもなぜ暑いという話から喧嘩の話になったのだろうか
なんの脈絡もない気がするけど。 第3ボタンまでワイシャツを開ける云々から喧嘩への脈絡が全然ない
女の子なら、危ないけれどね。さすがにゲイはいないと思う
そんなことを考えていると、高速道路のカーブに差し掛かったのだろうか
バスが急に揺れてバランスを崩してしまう。丁度刃山君の懐に飛び込んでしまう形になってしまう。
「うわっ!危なかった....ごめんね刃山君」
事故なので謝ればいいと思ったが、刃山君の顔は少し赤くなっていた。確かに「クラスの美少女」が懐に飛び込んできたらそうなるだろう。
刃山君はそのまま目を逸らしていた。別に気にしなくてもいいのだが。いやそれ以前に僕は男だ。
ただ教えるわけにはいかないので気まずい空間をしばらく過ごした。それにしても刃山君に飛び込んだとき少し見えた「白い包帯」はなんだったんだろう?
そして目的地である、奈良、法隆寺に着いた。
「ここが世界最古の木造建築である法隆寺で....」
ガイドさんの説明を聞きながら五重塔を回っていく。
「美山、あの仏像の名前はなんて言うんだ?どっかで聞いたことがあるんだ。確か、さん、シャンソン何とか....」
クラスメイトの誰かが聞いたみたいだ。
「[釈迦三尊像]ね。作者は不明だけど(以下ウィキ○ディアを参照)」
聞かれたので持っている全ての知識を教えてあげたが理解していなさそうだ。
なんやかんやあって宿に到着ーーーーーー
「絶対作者が面倒だからって省略したなこれ」
「歩美。メタ発言はやめようか」
「それよりさ、このあとおふろだけどどーすんの?」
...そうだ。一番重要なことを忘れてた。
男だとバレたら社会的に死ぬ! どうすれば.....!
「先生。私ちょっと体調が悪いのでお風呂はなしということで...」
「む。風邪か?体調には気をつけろよ美山」
何とか誤魔化せたようで良かった。さあ 部屋で休もうか。
そう思っていると目の前を刃山くんが通り過ぎていった。
男子の入浴時間のはずだけど...不良でもお風呂には入るべきだろう。
「...ん、美山か。もうすぐ入浴時間だけどいいのか?」
「刃山くんこそ。なんで入らないの?」
「色々事情があるんだよ。お前だってそうだろ?」
「あー..刃山くんも体調が悪いの?」
「まあ、な」
そういう刃山くんの目はどこか遠くを見ているようだった