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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 100

そして直線。
スノーチーフの脚に衰えは全く無く、先頭を爆走。
その後ろを2頭交わしたファーディナンドとアバディーン、少し後ろをガーベラが追走する。

スノーチーフに全く衰える気配が無いが、3頭がジリジリと詰め寄っていく。
長い直線での追い比べは、瞬発力勝負ではなく我慢比べの様相・・・
ジリジリと差を詰めた3頭がスノーチーフに追いついてきた。

残りは300m・・・
だが、スノーチーフが鞭に応える。
グイッとまた頭一つ伸びてくる。
アメリカでもこの世代で最強級と言われる一頭だ。
この脅威の粘り腰こそ、この馬の最大の武器だった。

ただ、それにやられるだけではない。
スノーチーフと戦って惜敗してきたファーディナンドが並びかける。
重賞未勝利だが、ポテンシャルの高さは折り紙付き。
一度つけられた差を詰める。

だが、外側ではアバディーンが先頭を伺う勢い。
更にガーベラがそこに食いつく。

澪も負けじと必死に追う。
それ以上にガーベラの闘志が凄かった。
残り200mの地点。
4頭が何度も先頭を変える大混戦で、後続を突き放していった。

残り200mだけで1馬身半突き放す快勝劇。
そのインパクトは乗っていた澪ですら半ば信じられないものだった。

「う、うわー」
「凄いわね、澪の馬!」

シャロンが驚き興奮とともに澪の隣に馬を寄せる。
それでガーベラが一瞬首を大きく上下させた。

グレード的にはGUだが、澪にとって初めての海外重賞勝利だ。

2着はそのシャロンの乗るアバディーン。
3着はファーディナンドで4着がスノーチーフ。
だがその着差はハナと首・・・
大激戦であった。


そして次はドバイターフ。
1800mの芝コースのレースだ。

一番人気は芝ダート万能のアメリカ馬ヴァンランディンガム。
ダートと芝でG 1をそれぞれ2勝している。
二番人気はパレスミュージック。
フランスからアメリカへ移籍した芝の中距離馬だ。
それ以外にもサンテスエフやシアトリカル、日本出走経験のあるベッドタイムなども人気だった。
そしてスターライトブルーは香港での活躍が評価されての3番人気であった。

シャロンの騎乗馬はレッドストーン。
香港で逆にシャロンがスターライトブルーに乗って勝った相手であるが、マイル路線で活躍するオーストリア産の騸馬だ。
人気は薄いが、シャロンがスターライトブルーを良く知っていると言うのがポイントだった。

フルダブルガーベラの勝利で気を良くしている澪だが、このレースも自信はあった。
何なら一番自信があるのがこのレースだった。

ドバイよりは距離が短いが香港で遠征競馬は体験済みだ。
それに海外の直線の長い競馬場でも粘り切れる、スピードで押し切れる力を持っている。
ひところの操縦性の利かなさも今では全くない。

スターライトブルーはパドックではいつも通り。
いい意味での前向きさが前面に出ている。

「この馬の競馬をさせてくれば、おのずと勝ちはついてきます」
「そうだね」

寛子とそんな話をして澪は本馬場に向かったのだ。

レースでは何時ものロケットスタート。
アメリカ勢も多い事からスタートで競り合いになる可能性も考えた澪だったが、スターライトブルーのスタートの早さは群を抜いていた。
先頭に立ち一つ目のコーナーを目指していく。

UAEダービーでは実力馬が前に集まったが、スターライトブルーが大きく引き離したのでやや中団に固まる感じになっていた。
2番手はシャロンの乗るレッドストーンだが、無理して追う感じは無い。

バックストレッチのコーナーを回って直線部へ入るスターライトブルー。
4馬身から5馬身差ぐらい引き離して走る。
そこまで早いペースではないが、芝の状態やら相手の調子やらが未知数なので正解かどうかは分からない。
ただ体感だと日本よりは柔らかい気はしなくもない。

バックストレッチ直線部からコーナーに入っていく。
リードは左程変わっていない。
みんな恐らく長い直線を意識して、そこからが勝負と思っているのだろう。

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