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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 101

ペースはどうあれスターライトブルーはリラックスして走れている。いよいよ直線での攻防。
府中よりも長いがほぼ平坦の直線。
ややリードは縮まったがスターライトブルーの手ごたえはまだいい。
2番手のレッドストーンが差を詰め、その外からシアトリカルが一気に動いていった。

更にヴァンランディンガムが凄まじい脚で駆け上がってくる。
やはり実力馬の切れ味は本物・・・
一気に差を詰めてスターライトブルーに馬体を合わせてきた。

残り400m・・・
一気に交わす勢いのヴァンランディンガム。
そこで初めて澪の手が動いた。

鞭を取り出し一閃。
グンとスターライトブルーの馬体が沈み込む。
低く跳ぶスターライトブルーが首まで追い縋ったヴァンランディンガムを一瞬で突き放す。
一気に半馬身から一馬身・・・
これぞ残していた二の足だった。

残り300m・・・
ヴァンランディンガムも必死で追うが一向に差は埋まらないどころかジリジリと差を広げられる。
その後ろのシアトリカルも勢いが無い。
これで決まりか・・・
だが、スタンドがざわめいた。

残り200m・・・
後方から凄まじい勢いで駆け上がる馬がいた。
ベッドタイムだ。
ジャパンカップでもカツラギエースを猛追し、ルドルフを撃破した遠征巧者の騸馬は長期休養明け。
だが関係ないとばかりに激走する。
瞬く間にごぼう抜き。
共に駆け上がるサンテスエフとパレスミュージックをぶっち切り、シアトリカルまで交わす。

そして脚色の鈍ったヴァンランディンガムも交わし、必死で粘るスターライトブルーと内外離れて馬体が合った瞬間―

そこがゴール板の前だった。
際どい勝負、写真判定に持ち込まれそうな接戦。
澪は粘り切れたかどうか微妙な表情。

ベッドタイムの鞍上、カールソンは首を横に振って苦笑し、スターライトブルーの隣まで馬を併せに行くと満面の笑顔で澪を称えるのだった。

これでスターライトブルーは海外G1を2勝目・・・
素晴らしいとしか言いようの無い結果だった。


そして、次はドバイシーマクラシック。
祐志が一番目を引いたのは、一頭の牝馬だった。

「コイツがそうか?」
「ああ、昔見たよりも更に良くなっているが、この馬だ」

ヘンリーが祐志にそう答えた馬の名はトリプティク
2人が感嘆したように、樹里もその馬に目を奪われた。

トリクティプはクラシックシーズンに無茶苦茶なローテーションで戦いながらも牡馬相手にG1を勝ってみせると言う事をやってのけた馬で、そのタフネスぶりが評判となっていた。

父はリヴァーマン。
その父から狂気と瞬発力を受け継いだトリプティクは、見る者を惚れ惚れさせる程の均整の取れた馬体をしていた。
同じく出走する英ダービー馬スリップアンカーやフランスの強豪バイアモンより遥かに良く見えるぐらいだった。

そしてアメリカからは古豪ストロベリーロードとゲートダンサー。
アメリカ芝屈指の実力馬が来ていた。

そこに出走するシロノライデン。
前年の宝塚記念を制した国内では実力派の古馬だが、海外での知名度は当然ゼロに等しい。
唯一の国際GT出走だったジャパンカップでは道悪という過酷な条件があったとはいえ大敗。
人気的にも下から数えるほうが早かった。

仁藤厩舎においてもライデンを遠征させるつもりは当初はなかった。
血統的にも海外の馬場が合わないのではという見方も強く、樹里も最初は前向きではなかった。

そんなライデンの遠征を後押ししたのは祐志である。

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