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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 95

サクラスマイルの84は生まれた直後に実母であるサクラスマイルを亡くしている。
幼い「サク」を実母の代わりに育てたのは曾祖母である名牝スターロッチ。
そのスターロッチはこの「サク」を実の息子のようにお世話してきたのだという。

涼風ファームにやってきた「サク」は当初そのスターロッチと離れ離れになり一人寂しく厩舎で嘶くことが毎日のようにあったと幸子が語る。
どうすべきか悩んだ幸子がとったのが、自身の母乳を飲ませてみることなのだ、と明かす。

そもそも離乳して久しい筈のサクだが、体質の弱さからかなり大事にされてしまった為に精神的に幼いままだった。
故に幸子の母乳に惹かれて吸ったのかもしれない。

「無駄に大きいだけの胸ですけど・・・こんな役に立つとは思いませんでしたわ」

幸子も人一倍胸が大きいが、それだけでなく昔から母乳が豊富であった。
真奈の時も真奈にたっぷり飲ませても張り詰めるから、毎日自分で搾らなくてなならないぐらいだった。
今回も出産前からたっぷり出過ぎるぐらいで、むしろサクに吸って貰って助かってるぐらいだった。

プールでの引き運動をしていると、ジョンと百合がやってくる。
しかも2人共裸だった。
百合も出産したばかりであったが、一番平気らしく翌日から元気で退院も早かった。
少したるみのあるお腹に妊娠線が残っているものの、元気そうであった。

「ママ、変わるよ」

ジョンは幸子を抱きしめてキスして手綱を持つ。
敦子や百合にもママと呼ばれる幸子だが、4兄弟にもそう呼ばれているようだ。
ジョンが百合と共に引き運動をすると、幸子は樹里の横に来て座った。

「百合ちゃんは元気ですね」
「ええ・・・若いんだけど6人目ですしね」

元来丈夫なのか、全て安産だったようだ。
真奈や裕美はまだ床上げとまでは行ってないし、幸子や敦子もここまで早くは無かった。

「サクちゃんは、競走馬になれそうですか?」

サクと同い年の涼風ファーム生産馬は残念な事に競走馬になれなかった。
幸いに大人しい性格だった事から乗馬として貰い手があったが、多くの競走馬になれない馬の末路は暗い。

「ポテンシャルは凄いってエリック達も行ってますけど・・・体質の弱さと脚元の不安・・・それから精神的な幼さなどもネックだと言ってますね」

幸子にとっても心苦しい話だ。
いくら能力があっても体質が弱ければ競走馬になれない可能性だってある。
それに脚元の弱さは例え競走馬になっても爆弾だ。

「ただ、エリック達の情熱が・・・ソフィアちゃんもサクちゃんも上手く行けるような気になっちゃうかなって・・・」
「そうだといいですね」

どうなるかは分からない。
だが、彼らの知識や経験、何よりも情熱がこれを乗り越えるかもしれないと樹里も期待してしまう。

そんな期待を胸にしながら、樹里は引き運動を見ていたのだ。


デビューの遅れていた仁藤厩舎のリマンド牝馬、プチソレイルがいよいよ新馬戦に挑む。
秋にデビュー予定が、ソエやコズミで遅れに遅れ、ようやくのデビューになっていた。
そんな事もあって、デビュー戦はダート1800m・・・
芝向きだが、体調を考慮してのダート戦だった。

当然、鞍上は澪。
調教から乗っているが、小柄な身体でパワフルな走りをする所が気に入っている一頭だ。
ただ、頑張り過ぎたからこそのソエやコズミなので、真面目過ぎると言う欠点もあった。

「まだ練習期間や・・・今日は回ってくるだけでええ」

仁藤の指示はそれだけ。
これからの馬だから勝ち負けより無理させるなと言う事だ。
将来性があるからこその指示だった。

パドックでは若干うるさい所を見せる。
真面目過ぎるが故にイレ込むタイプがそこにも現れている。
悪い性格ではないが、当然消耗もある。

短い距離であれば前向き過ぎるくらいの気性でもいいのだが、今回はそういうわけではない。
本馬場に入ってもなるべくそういうところを出さないように気を使う。

(ラモーヌともガーベラ様ともまた違う子だね)

澪はプチソレイルをなだめながら待避所に到着。

そしてレース。
スタートはしっかり出て、行き脚もつく。
そのまま2番手からレースを進める。

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