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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 86

地下馬道を通り本馬場へ。
初めてのGT、初めての大歓声を浴びるリュウノラモーヌ。
それでも漆黒の馬体は落ち着いていた。
芝コースに脚を踏み入れるとスイッチが入って駆け出す。
とはいえ暴走しているわけではない。
走るのを心から楽しんでいるような感じ。

(女の子とは思えないんだよなぁこの子。でも凄く良い)

澪のこの年の2歳馬のお手馬の中で、このラモーヌとガーベラがどちらも女王様気質だ。
ラモーヌの方はシンボリルドルフに喧嘩を売りに行く程気が強く、ガーベラも厩舎のボスのスターライトブルーと喧嘩をしていたぐらい気が強い。

ただラモーヌの方は人間には従順で愛美からも手を焼かないとは言われているのに対して、ガーベラはプライドが高く人間相手でも歯向かう事も多い。
スピードは芝とダートの違いがあれ、どちらも素晴らしく、ラモーヌの方が瞬発力に優れ、ガーベラの方が競り合いに強い印象がある。

最大の違いがその性格。
ラモーヌの方はひたむきで諦めないタイプで、ガーベラは抜けないと思うと諦める所もある。
一見ラモーヌの方が良い性格に見えるが、注意しないとひたむきだから怪我をしてしまう事もあるし、ガーベラの諦めは賢さ故の所もあったりする。
なのでどちらも甲乙つけ難いと言うか、同時に2頭乗れる事に幸せを感じる澪だった。

そして待避場でも、一頭だけ古馬のような落ち着きでゲートインを待っていたのだ。


メンバー中、真ん中の枠に真っ先に入るリュウノラモーヌ。
他の馬も嫌がることなくすんなりと入っていく。

スタート。
綺麗に全頭揃った。
リュウノラモーヌは2番手から3番手、絶好のポジションでレースを運べる。
他馬に絡まれて女王様っぷりを見せるような感じはまったくない。

少し行く気を見せるが、澪が抑えると素直に従う。
気の強い性格だが、人の指示にはちゃんと従うし嫌がる様子も見せない。
ほぼ言う事を聞かないスターライトブルーや言う事は聞くが怒りを溜め込むフルダブルガーベラとは違う。
自分のやる事が分かっている賢さだ。
そんなラモーヌは少し控えて3番手を追走していく。

レースは澱みのないペース。
展開的に苦しさは無い。
もう少し後ろの方が瞬発力を活かせていいのだが、先行できる能力も備わっている。
恐らく逃げる事も追い込む事もできるだけの柔軟さを持っているだろうと澪は見ていた。

3コーナーに入ると、少し行きたがる。
かかった訳でなく、レースが終盤に入った事を理解したんだろう。
澪が抑えると言う事を聞いたのはそう言う事みたいだ。

(本当に賢い子だなぁ・・・)

アホな子はアホな子なりに可愛いのだが、こう言う賢い馬は本当にいい。
奥原がメロメロなのもよく分かる。

前を行く2頭の先行馬を見ながら4コーナーをスムーズに曲がり、直線に入る。
澪がリュウノラモーヌに対し鞭を抜く仕草をすると、馬がグンと頭の低い姿勢になり、加速する。

(うーん、これは凄いや)

瞬く間に前を行く馬をとらえ、先頭に立つリュウノラモーヌ。
その後ろからダイナフェアリーが追いかけてくるが、追いつくまでの速さはない。

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