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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 84

そんなジャパンカップが終わり、12月に入る。
12月最初のG1はチャンピオンズカップ。
ダート王アンドレアモンと古豪ロバリアアモンが沈む中、人気薄の3歳馬チェリーフットがまさかの優勝。
波乱の決着となった。

その次の週は阪神ジュベナイルフィリーズがあるが、同日に香港国際競走もある。
祐志が手を回してくれたのか、招待状が簡単に出た事で参加を決定。
スターライトブルーは事前に香港に向かい、検疫もクリアして受け入れ先のブラウンウッド厩舎に入っている。
澪が当日は騎乗出来ないので、ブラウンウッド厩舎でそこも手配して貰う事になった。

そのチャンピオンズカップが行われているその日、樹里は祐志と共に香港に居た。
2人を出迎えたブロンドの美女は、セシリー・ブラウンウッド。
ブラウンウッド厩舎の調教師である。

『ユーシ!来てくれたのねっ!』

満面の笑みかつ蕩けるような女の顔。
セシリーのそんな態度に樹里も察するものがある。

「久しぶりだなセシリー・・・こっちがスターライトブルーのオーナーだ」
「よろしくお願いしますね」

「ええ、よろしく。とても良い馬だと聞いてるわ」

ああ、彼女も祐志に抱かれていい女になったのだろう、というのが樹里にはよくわかる。

「今年は強い馬がイギリスとアメリカからやって来るけど、この馬もそれに負けないくらいに仕上げたいわね」

セシリーの言う2頭の強い馬。
イギリスからやってくるのはシャディード、アメリカからやってくるのはコジーン。
前走はともにアメリカのBCマイルで、そこではコジーンが勝利している。

「当日騎乗する娘のシャロンを紹介するわ」

セシリーが厩舎の中に2人を招き、馬の世話をする少女を呼ぶ。
小柄で騎手らしい体格の少女で、年齢は澪とそう変わらないように見える。
母親とよく似た顔のブロンド美人だ。

「ユーシ!来てくれたの!」

少女の顔が蕩けるような笑顔。
ああ、この娘まで手を出したのねと樹里にもすぐ分かる。
母娘同時に喰ってしまうとは、大したスケコマシだと改めなくても思う樹里だった。

「久しぶりだなシャロン・・・お前に任せる馬のオーナーを連れてきたぞ」
「よろしくお願いしますね」
「こちらこそありがとうございます!」

互いに挨拶を交わす。
シャロンは少しおっとりとした感じのあるお嬢さんで、祐志の事があっても好感度を持てる少女だった。

事前にスターライトブルーに付いて寛子も来る予定だが、セシリーもシャロンも多少なら日本語が解るらしく、通訳の必要が無いのは有難い話だった。
まあ、2人が日本語を覚えているのは察するに余りあるが、好都合だったのは確かだ。

直前の現地調整ではシャロンがスターライトブルーに騎乗し芝コースで軽く追う。
寛子の指示にもシャロンは難なく応えて状態は抜群のように見えた。

「これならレースでもバッチリですね」
「ありがとうございます」
「いえいえ、濱松さんもわざわざ遠征してもらって」
「これも経験ですからね。今後は日本の馬もどんどん海外に挑戦していくべきだと思いますから」

そう言う寛子は今、調教師試験の勉強中だった。
これは仁藤からの薦めもあり、今後の事を考えての事だった。
そんな話を仁藤から聞いて樹里も応援していたのだ。

樹里は香港が近い事もあって、一度日本に戻る。
日本ではリュウノラモーヌが出走予定なので、日本に帰って美浦に向かう。

向かった先は奥原厩舎。
奥原も樹里の海外遠征を耳にはしていた。

「素晴らしいですね・・・スターライトブルーをこちらから応援していますよ」
「ありがとうございます・・・当日行けないのは残念ですが、よろしくお願いします」

ラモーヌの方を見たい気持ちもあるが、身体は2つは無い。
こちらの方は叔父と紗英が観戦してくれる予定だった。

「ただ・・・他の馬主さんや調教師の中で、色々言われているのも事実です」
「ええ・・・それは覚悟していました」

奥原の心配・・・
今回の樹里の遠征を快く思わない者もかなり多い。
遠征のリスクだけの話ではなく、そう言う海外遠征などはベテランの大馬主がするものと言う意見も多い。

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