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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 9

そんな部分で理解しあえて、絆がより深まったのではと感じた樹里。

「私も色々あったので、こういう話はまた思い出として話すとして、そろそろ本題に行きましょうか」
「あ、そうですね」
「ついつい盛り上がってしまいました」

ちょっと表情を引き締めなおす樹里。

「今年の種付けの話です」
「はい」
「私も素人なりに勉強して考えたこともあってー」

まずは真奈から当初の予定の話。
タケシバオー牝馬のアキネバーにはトウショウボーイを、ノーザンテースト牝馬のシーテイストにはスティールハートを付ける計画を立てていたという。

トウショウボーイは歴史的名馬ながら組合所有の為に抽選にさえ当たれば安価で種付けできる中小零細牧場にとって有難い馬だ。
しかも受胎率も高く、産駒の勝ち上がり率も高い為に『お助けボーイ』なんて異名すらある。
ただ、毎年種付権が抽選なのと、牡馬なら必ずセリに出さねばならないと言うルールがある。

そしてスティールハートは、近年の人気種牡馬。
こちらはシンジケートが組まれているが、今回余勢株を回して貰える事になった。
ただトウショウボーイと違い、こちらは前の涼風ファームなら考えられないぐらい高額だ。

「お嬢様が購入された2頭に関しては素晴らしい良血なので、何にするか目移りしますわ」

セントクレスピン産駒のセントオーキッドとダイアトム産駒のキタヨシコは以前なら手が出ない程の高額馬だ。
自身に活躍は無くとも、血統背景だけで大牧場に居てもおかしくないレベルである。
なので幸子や真奈も一流種牡馬と組み合わせてみたい気持ちが強い。

「そうですよね。相性とかも考えたうえで、いろいろな候補を叔父や従妹とも考えてきたんです」

樹里のメモ帳にはその候補となる種牡馬の名前がずらっと書いてある。

ナイスダンサー
マルゼンスキー
ミルジョージ
ノーザンテースト
ノーアテンション
グリーングラス

「セントオーキッドにはナイスダンサーかマルゼンスキーかな、と考えてました。キタヨシコも…悩みますね…」

「私はそこまで詳しい訳ではありませんが」

そう前置きして樹里が考えていた候補を挙げる。
その殆どは真奈の案と同じだったが、中に2つ違うものが入っていた。
それがリアルシャダイとディクタスであった。

「まだ実績は無いのですが、聞く所によると評判だとか」
「はい、ディクタスは海外で産駒が走ってるようでそれなりの実績はあるみたいですが、リアルシャダイは本当に新種牡馬ですね」

実績はまだ無いが、確かにその選択は面白い。
リアルシャダイの父ロベルトは異色の血統ながら、その勢力を徐々に拡大している。
ディクタスもヨーロッパの短距離から中距離でで産駒は実績を上げているが、日本の馬場との相性は未知数だ。
幸子と真奈がよく話し合って、今回リスクより確実性で選んだのであえて入れて無かったが、それぞれ相性は悪くない気はする。

「それでは、この2頭も候補に入れて考えましょう」

幸子の言葉に真奈も樹里も頷く。
2頭に共通して言えるのは、血統背景的にバランスの取れている所。
つまり、種牡馬次第で変わるタイプだ。

それまではクラシックや天皇賞といった八大競走が中心に回っており幸子も真奈もそれを意識した配合を考えてきた。
それが競馬会のレース体系の改革によって選択肢の幅が広がった。今後は短距離やダートの強い馬づくりも目標のひとつになる。

真奈と樹里は外の放牧地に視線を向ける。

のんびり牧草を喰むモガミ産駒の1歳牝馬。
モガミもそうだが、候補の1頭であるディクタスも気性の激しさがネックとされている。

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