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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 8

なので、幸子と真奈が羨ましいとも思ったが、余所は他所なので比べるべきではない、と考える樹里だった。

愛人の存在を知ってから一気に夫婦関係は冷え込み、やがて夫は家に帰らない日も多くなった。
決定打となったのは夫の愛人の妊娠、さらに男児の誕生だった。
樹里が2人の娘の親権を持つことで離婚は成立。
樹里の将来を案じた健三は再び体調を崩してしまった。


「先代様には申し上げてませんし、もしかしたらお嬢様も驚かれるかもしれませんが―」

真奈は話を続ける。

「奈帆の父親は、先代様なんです」

予想がついた話だった。
だが、幸子だけなら兎も角、真奈は奈帆を出産した年齢を考えれば中学生ぐらいの筈だ。
いくら何でもそんな子供と関係を持ったとはいくら父でも許せない。

「これは私が悪いのですが・・・真奈は昔、間違った道に進んでしまっていたので、先代様に正しい男女の道を教えて貰ったのです」

随分と話しにくそうに幸子は言う。
牧場の娘は性の目覚めが他よりも早い事が多いが、時折それが困った事態を引き起こす事になる。
低年齢からのセックスや出産なんかも珍しい話ではなく、父親の分からない子を宿す娘達も少なくない。
動物の性行為を当たり前のように見ているからそう性に抵抗がなくなる事が多いからで、真奈も性の目覚めは例に漏れず早かった。
しかも、幸子の不注意で真奈に健三とのセックスを見られてしまったのだった。

「それで真奈がグレてしまった経緯もあるんです」
「お恥ずかしい話です」

今となってはいい思い出です、と真奈は頭を搔く。

「ただでさえ娯楽の少ない田舎ですから、暇な男女がすることと言ったら…なんですよね」
「それでも、真奈さんまで父とするようになったのは…」
「すべて私が悪いのに、先代様は自分の責任だ、と仰ったんです」

責任も何も、中学生とセックスしている時点でアウトなのだが、しかも妊娠させていたとは・・・
むしろこちらがご迷惑をと言いたい気分だ。

「妊娠してもお腹の膨らみが目立たなくて・・・特に体調もおかしくなかったので気付いた時には手遅れになって」

そう、お腹が膨らんできてから気づいたのだが、堕胎は無理な時期になってしまっていた。
しかも、当時荒れていた真奈は複数人と関係を持っていたからどこの誰の種とも分からない状況だった。
そう言う状況だったから桜木夫妻共々頭を抱えながらも、どうしようもなくて状況を認めるしかなかった。

そして真奈は奈帆を出産して、中学卒業後にそのまま牧場で働きつつ子育てする事になった。
最初は時期的にも健三の種とは思わなかったから連絡もしなかった。
故に数年は健三も奈帆の存在は知らずにいた訳だ。
ただ、数年後に奈帆の存在に気付きDNA鑑定を健三が行い奈帆が健三の娘である事を確認。
故に罪滅ぼしとして涼風ファームへの支援を申し出たらしい。

だが、幸子と真奈の答えは・・・
愛人として可愛がって欲しいと言う答えだった。

この頃の幸子は身も心も健三の虜になっていた。
そして真奈も同じようなものだった。

「私達は牧場を救うと言いつつ、夫を裏切って肉欲に染まっていたのです・・・なので、ここを追い出される事となっても当然だと思っています」

幸子としては断罪されても当然だと言う気持ちがある。
人付き合いが下手で友人の少ない夫が交渉事を幸子に任せるのをいい事に頻繁に札幌まで出て逢瀬を重ねていたのである。

「お二人を責めれませんし、むしろこれからも協力をお願いしたいのです」
「そう言っていただけるだけで有難いです」

多分、樹里の元夫が絶倫じゃなければ理解出来なかったかもしれない。
樹里もかつては元夫の虜になって、何でも言う事を聞いていた。
浮気発覚直後は泣いて元夫に捨てないでと縋ったぐらいだ。
そんな樹里に元夫は露出やらSMやら変態的なプレイを要求してきたが、それすら喜んでやった。
まるで肉便器のような扱いを受ける事すら愛を感じてしまった樹里だったから、肉欲の虜になるのはある意味仕方ない部分があると思っていた。
故に2人を恨めないどころか、シンパシーすら感じていたのだった。

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