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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 79

「でも・・・」

樹里は少し困ったような、それでいて怒ったような表情でジョンに問う。

「あなた、それだけ疲れていてこれで大丈夫なの?」

ジョンと樹里は裸でベッドの中。
樹里はジョンに狂ったように身体を求められ、事が終わった所だった。

「ああ、ほら、ユリが身重であんまりできないからストレス溜まっちゃってさ・・・それが大変だったんだよ!」
「まあ!呆れたわ!」

ジョンのタフさに呆れるしかない樹里。
4兄弟が一頭の馬を助ける為に凄まじい熱意を見せている事に感動した樹里だったが、やはり性獣は性獣のままだったようだ。
感動は何処かに飛んで、今は呆れしか残っていない。
そして更に呆れた事に、樹里を抱いてジョンの顔つきも回復してるようにすら感じる。

「兄貴達もジュリを抱きたいと思うよ!」
「・・・はぁ、仕方ないわ」

こうでなくてもヤラれるのだが、この状態で自分が協力できる事がセックスなら吝かでは無い。

ジョンと入れ替わりにヘンリーが部屋にやって来て、その後はラルフ、そして最後にエリック…
皆連夜の激務にお疲れだったがベッドの上ではそんなのお構いなしと言うくらいに獣になり、樹里を蹂躙していった。
今度は樹里が疲労困憊になってしまうほどだったが、4兄弟の絆とひたむきさも感じられて、樹里はこれもまた良いかなと思うのだった。

そして週末、スターライトブルーが挑むマイルCSが行われる。

大本命は天皇賞からこちらに回ってきたニホンピロウィナー。
ラストランに選んだのは、昨年にマイル王となった思い出の地、京都競馬場。
全ての舞台が整ったと言える。

対するは世代交代を狙うスターライトブルー。
重賞連勝中で、いよいよビッグタイトルに王手と言う所まで来ていた。

パドックでは両馬の出来がそれぞれ良く、甲乙つけ難い雰囲気だった。
キビキビと歩くスターライトブルーの歩様にも自信が備わっているように見え、ニホンピロウィナーのしっかりした歩様もそれに負けてはいない。
まさしく、二強対決と言った所だ。

「逃げるんやろ?いつも通り」
「はい、勿論です」
「なら、その後ろに居させて貰うわ」

主戦騎手同士の会話。
レース前に戦術の話を何故と言いたい所だが、互いに言ってる言葉の裏は『真っ向勝負する』と言う事だ。
騙して撹乱する方法もあるが、どちらともそんな気は無く、真っ向から相手を打ち負かす気であった。
それだけ馬を信頼してると言う事だ。

それと同時に『後ろに居させて貰う』は恐ろしい言葉だ。

スピードは決して劣らないと思っている澪だが、スターライトブルーとニホンピロウィナーの最大の違いは『自在性』である。
逃げ一辺倒のスターライトブルーに対して、ニホンピロウィナーは先行も差しも出来るし逃げる事も可能だ。

故に澪がペースを落とすとニホンピロウィナーは必ず並びかけてくるし、早めるとこちらが先に潰れる。
そのどちらでもない絶妙なペースで走る事を求められると言う難解なミッションをこなさないと勝機は見えないのだ。

戦前からニホンピロウィナー有利な状況で始まるレース。
スタートはいつも通りスターライトブルーのロケットスタートから始まる。
一瞬にして先頭に立ちレースを引っ張る。
ニホンピロウィナーは一馬身半離れて2番手。
スターライトブルーのロケットスタートにもしっかりついてきている。

やはりと言うか、簡単にいかないレースだ。
ペースを少し落とすと、ニホンピロウィナーが近づいてくる。

天皇賞では最後に力尽きたが得意のマイルではそんなことはまずないだろう。
前に行かれたらそれはこちらにとってレースの終了を意味するのだ。

脅威はニホンピロウイナーだけではない。
好位をピタリと追走するドウカンテスコ、ベテランだがまだまだ衰えないトウショウペガサス、中団以降にもスワンステークスで接戦に持ち込まれたコーリンオー、快速牝馬ダスゲニー、後方で脚をためているエーコーフレンチ。

(気が抜けないなぁ)

ニホンピロウイナーの外から顔をのぞかせるのはオサイチボーイ。
シャダイソフィアとともに事故に巻き込まれた1頭だが、こちらは大した怪我はなく鞍上とともに元気に参戦していた。

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