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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 69

では、諦めてエリックのメスとして生きるか・・・
エリックはそんな自分を愛してくれて、自分も愛する人の子を孕んだ訳だが、そうなると余計に馬作りに携わっていたい欲求も強くなっている。
ただ、エリック達との実力差を見せつけられたし、4兄弟の言う事の方が正しいのも理解はしている。
そして、自分が精神的にはそれに納得しておらず、父から受け継いだ悪い部分に囚われているからこそエリックも調教紛いのやり方でそれを変えようとしてくれてるのも理解していた。

「そうだよね・・・頑張って認めて貰わないと・・・」

子馬達やシロノホマレののんびりとした様子に癒されながら、真奈は仕事に戻るのだった。


秋競馬が始まる。
その最初の週。
スターライトブルーは京成杯に・・・
そして同じ日にリュウノラモーヌのデビュー戦があった。
奥原は、この馬も澪に任せるつもりでいた。

リュウノラモーヌは人懐っこい馬で、人間に対しては従順で甘えん坊だった。
故にウィンドフォールが王子様と呼ばれているのに対して、リュウノラモーヌはお姫様と呼ばれていた。

どちらも奥原厩舎のアイドル的な存在で全てのスタッフから好かれていたのだが、リュウノラモーヌの方はウィンドフォールとは違う一面があった。
凄まじい負けず嫌いで、馬相手になると荒々しく豹変する。
調教で合わせ馬で相手を先行させると必死に走り、勝てないと噛みつこうとする。
それだけでなく、厩舎のボス馬に喧嘩を売る・・・
しかも迫力勝ちしてしまう事に奥原すら驚いたものだ。

それだけなら笑い話だったのだが、美穂全体のボスでもあるシンボリルドルフに喧嘩売りに行った時は奥原も肝を冷やした。
勿論コテンパテンに負けたのだが、ルドルフが宝塚記念後の体調不良だったから助かった面はあった。
でなければ厳しいルドルフに潰されていたかもしれない。
その為、他の厩舎からラモーヌは取り扱い注意的な扱いを受けていて、お姫様の違う一面に奥原も愛美も少し頭を抱えたのだった。

だが、超絶負けず嫌いな性格だけでなく、馬としてのポテンシャルも一級品だった。
愛美も初めて跨った時、震えが止まらなかったぐらい衝撃のポテンシャルだった。

奥原が馬体を見ただけで惚れた、と聞いた時には愛美もそれは言い過ぎだと思っていた。
しかし美浦に入厩し乗り込みを任せられていくうちに奥原が言ったことが実感できたのだ。

「まだ誰も成し遂げたことのない、牝馬三冠を獲れるかもしれない」

奥原が言っていることが、決して夢物語ではないことも…

リュウノラモーヌのデビュー戦は中山の芝マイル。
非常にトリッキーなコース形態であり、枠順の内外で有利不利も大きい。
それゆえに2歳GT・朝日杯は阪神開催に移されてしまった背景もある。

返し馬をして待避場に向かう途中、他馬が不用意に近付くと唸って威嚇する。
澪も聞いていたが、この気の強さに驚く。
フルダブルガーベラの気位の高さとはまた違う女王様ぶりだった。

(あの子がダート向きで良かった・・・)

フルダブルガーベラは2戦目の芝レースで5着と敗れ、仁藤からダート専念だねと言われていたし、澪も芝では走らないとは思っていた。
それだけにこの2頭が激突しない事にホッとするものがあった。

ただ気は強いものの、フルダブルガーベラと同じく人には従順なのはいい。
どちらも自分のやるべき事が分かっている賢さがあった。
特にラモーヌは奥原がメロメロなぐらい惚れているのが分かるぐらい『いい女』だった。

ゲート入りもスムーズ。
だが隣の馬がスムーズに入らない事に苛立って唸っている。
本当に気が強くて、澪も苦笑しながら鬣を撫でて落ち着かせようとする。
そうするとゴネながらも我慢する所が何だか可愛らしい。
こんな所も奥原を惚れさせたのだろう。

スタートも普通に出た。
真ん中の枠で、内と外の馬に若干挟まれる格好になってポジションを下げる。
これでエキサイトしたら大変だが、ラモーヌにそう言うところはなさそうで安心する。

序盤は中団からやや後ろ。
折り合いに心配はないがペースがあまり早くはないからこのままだと届くかどうかちょっと心配にはなる。

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