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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 61

「本当に・・・同じ子なんですかね・・・」

澪も驚くしかない。
軽くトラックコースを走らせてみたのだが、相変わらず走るのが好きなのは出ている。
だが、澪の指示に従って抑えて走っていたのだ。
あの聞かん坊のスターライトブルーがである。
無論、以前より力強さとか逞しさも感じたが、何より言う事を聞いてくれた事に感動すらある。
そのせいか知らないが、澪の股間は濡れまくっていたし、何度か軽くイッてしまっていた。
それは大人のセックスをした感覚だったのかもしれない。

当のスターライトブルーの方は褒めてよと言わんばかりに寛子に甘えてくる。
それを少し構いながら澪と共に馬房に向かう。

「もう・・・走り終わってすぐに馬っ気出してるし!」
「ふふふ・・・澪ちゃんがいいオンナになったからじゃない?」

澪の方も総合リーディングで10位圏内が見える所、関西リーディングではトップ5に入る活躍をしている。
それと共に新聞も賑わせているし、重賞勝利もシロノライデンやスターライトブルーを抜いて2勝していた。

前年の新人賞もプレッシャーになることなく順調に勝ち星が伸びており、男社会の色が強い競馬界に咲く一輪の花として注目を浴び続けている。

「これなら距離が延びたって行けるんじゃない?」
「さすがに菊花賞は無理があるかもしれませんが…」
「復帰戦の結果とローテ次第じゃ秋の盾も考えていいかも。ライデンくんには2000は忙しいからね」

そう言う寛子に澪はニッコリ笑う。

「そんな事無いですよ・・・ライデンくんは2000mをこなすスピードを持ってますって」

彼女の自信。
宝塚記念に向けてのシロノライデンの調教で得た自信だ。
まだ坂路調教を始めて数ヶ月程度だが、シロノライデンの成長期と相まってその効果が爆発的に出ているのだ。

そして、今度こそルドルフを捉えてみせるとの意気込みも大きくなっていったのである。


スターライトブルーの復帰戦は7月末の中京記念で調整を進める事に仁藤が決定したのはそれから数日後だった。
平坦コースの1800mで試して今後のローテーションを考えていくつもりだが、仁藤は今年一杯はマイルを中心に走らせるつもりでいた。

「馬が大人になったみたいやが、適距離はマイルやろな」
「先生、そうですね・・・2000mも走るでしょうけど、調教でもマイルぐらいがいい感じに思えます」

仁藤と話す澪。
シンボリルドルフは母父のスピードシンボリの血が濃く出て体型もステイヤーらしいものになっているが、同じ血統構成の筈のスターライトブルーはそれより胴の詰まった体型でステイヤーとはほど遠い。

以前のような鞍上の制止すら振り切ってしまうほどの気性面は改善されて、それが実戦でどうなるかという試金石の一戦にもなる。
マイル路線で結果を出すようなら、現在の短距離界の王として君臨するニホンピロウイナーを脅かす存在にもなれると仁藤は思っている。

「先生のとこにもええ馬おりますなぁ」
「お前の馬の後継者やな」

今年に入ってからニホンピロウイナーの主戦を務める騎手・河井が仁藤とそんな会話を交わす。

マイルでは既にルドルフより強いと言われるニホンピロウィナー。
ただこの2頭の直接対決は、戦うステージが違い過ぎて実現は難しいだろう。

その2人の前、坂路を凄い勢いで駆け上がる馬がいた。
その馬の名前はフルダブルガーベラ。
2歳の牝馬だった。

仁藤厩舎に入ったばかりの新馬で父馬はブレイヴェストローマン。
そして、馬主は白幡樹里。
樹里がセリで買った馬だ。

「新馬とは思えへん脚してますな・・・ダートで走りそうですやん」
「営業かいな?乗る馬に困ってへんやろに」

目を細めて笑う仁藤。
調教つけているのは澪だが、こう言う河井のような厩舎周りを欠かさないベテランには好感を持っている。
河井は、トップジョッキーであるのだが、全く偉ぶる事も無い。

「トップの座に踏ん反り返ってたら一気に転げ落ちますよって事ですわ」
「せやな、どこかの誰かに聞かせてやりたいわ」

河井の言葉にニヤリと笑う仁藤。

「どこかの誰かは関東のアレですかいな?・・・先生の所のライデン、ええ感じやし」
「滅多な事言いなや」

河井も仁藤と笑い合う。
宝塚記念では2人共、倒すべき相手を同じとする同志でもあった。

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