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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 42

母と娘で経営と言うのは涼風ファームと同じだ。
ただ、スノーベリー牧場はアイルランドでも有数の規模を誇る牧場であった。

「今日は以前から話していた件だ」
『本当にいいの?』

祐志とアネットの会話。
つまり今回の目的である涼風ファームに従業員をスカウトする話だ。
その為に樹里は祐志にアイルランドまで連れてこられた訳だ。

「本当にいいのって・・・大丈夫な話なの?」

アネットの反応に流石に祐志にそう聞く樹里。

「腕は確かだ・・・と言うか超一流なんだろ?」
『ええ・・・弟達は、身内贔屓無しに優秀よ』

祐志の言葉にアネットは言葉を選びながら言う。
何となく樹里も察するが、それは大問題じゃないんだろうかとしか思えない。
聞くとアネットには弟が4人いて、長男は獣医のエリック、次男は研究者のヘンリー、三男は調教助手のラルフ、四男は牧童のジョンでこの4人をスカウトすると言うのだ。

『引き取ってくれるのは有難いけど・・・』
「いい奴らじゃないか、問題無い」

祐志は性格は兎も角、こう言う所は信頼できる。
それに海外強豪国の技術を導入できるのは凄く幸運ではある。

「ありがとう…なんか突然で申し訳ないわね」
『こちらこそ。国は違っても強いサラブレッドを作る志を持っている者同士…お互い頑張りましょう』

樹里とアネットが手を取り合う。

「まあなんだ、俺もお前の施設を借りるわけだから金も力も惜しまない。それに…」

祐志は含み笑いしながら話を続ける。

「お前んとこ、従業員は全員女だろ。プライベートを満たす為にも男は必要だ」
「うーん…あのねえ」

「モガミの仔は絶対に売らないって俺に突っかかってきたあの子、アレは将来絶対にいい女になる」

奈帆の事を言われて樹里は顔を曇らせる。
祐志の言葉には同意だが、まだ子供の奈帆を祐志のいいようにさせたくはない。

「丁度いい・・・あの娘、ここに留学させろよ」
「なっ?!・・・いきなり何をっ?!!」

アネットと樹里の腰を抱き寄せる祐志。
2人の驚く顔を満足そうに見る。

「本番の馬産を学べるいい機会だろ」
「そんな事言っても!」
「説得しろよ、いいだろアネット」
『あら、ウチは大歓迎よ・・・牧場の後継者になれるよう仕込んであげるわ」

悪い話で無い所がタチが悪い・・・
本人の意思が大事だとは思うが、そうするメリットは計り知れない程大きくはある。


そんな難題を突きつけられた樹里。
その後、案内されてアネットの弟達に会った。

4人共、モデルかと言うぐらいのイケメンで、これには流石の樹里も顔が綻ぶ。
長男のエリックは27歳でヘンリーは24歳、ラルフは21歳、ジョンは18歳だと言う。
目つきの鋭く意志の強そうなエリック、眼鏡でいかにも学者風なヘンリー、陽気な感じのラルフ、無邪気な感じのジョンとそれぞれ性格の違いが出ていた。

こんな有能そうな弟達を海外にやっていいのだろうかと樹里は思うのだが、そこまでしないといけない理由は祐志絡みだけに何となく察するものがある。
しかも、祐志が『まっ、頑張れよ』とアネットの腰を抱いて部屋の外に出た時に確信した。

自分を見る4人の視線は・・・
まるで捕食者のようだったのだ。


翌日の昼過ぎ・・・

『素晴らしいなユーシ・・・春までには日本に行こう』
「いや、来た甲斐があったな樹里」

エリックと握手してにこやかな祐志。
その隣でアネットがうっとりと寄り添っている。
樹里は無気力な目でそのやり取りを空虚な笑いを浮かべて見ていた。

昨日は凄かった・・・
4人共巨根でテクニックも抜群。
夜通しヤラれてメロメロにされ、ついさっきまでヤラれていたのだ。
疲労困憊だが、充実感もあるのは彼らの上手さかもしれない。
こんな風に樹里をメロメロにするだけあって、4人共女癖が悪い。
有能なのだが、それで庇い切れなくなったからこその『国外追放』なのであった。

彼らが側にいること、言ってみれば祐志が4人いるようなものだ。
ただ人間的にはまったく悪い男じゃないし、セックス抜きにしても、馬に関しては同じ志を持ち情熱もある男たちなのだ。

『よろしく、ジュリ。お互いに頑張ろう』
「ええ…こちらこそ」

優しく髪を撫でるヘンリーにちょっとときめいてしまう樹里。
頑張るって、どういう意味でなのかなと心のどこかで考えながら少し明るい未来が見えてきた、そんな今回の欧州旅行だった。

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