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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 404

そして樹里の持ち馬では、アクアパッツァとディザイアがドバイ遠征を決定。
アクアパッツァがドバイターフ、ディザイアがシーマクラシックに登録されたのだ。


そして国内では、サムシングブルーが3歳牝馬限定競走のクイーンカップに挑戦。
サムシングブルーにとって春のクラシックの試金石となるレースだ。

芝もダートもこなせるサムシングブルーであるが、コンビを組んだエイミーによるとダートの方が良さが出るタイプだと言う見解だった。
さりとて芝も問題無く走れる故に、クラシックが芝である以上挑戦しないと言うのも無い。
そこでこのクイーンカップで試してみようと言う訳だ。

新たな鞍上は帰国したエイミーに代わり岸田。
悠が別馬に騎乗する事から、若いが牝馬の扱いには定評がある彼を寛子は起用した。

関西から遠征してのレースだが、サムシングブルーも人気上位・・・
だが、圧倒的一番人気は同じく関西からの遠征組のスカーレットブーケであった。
しかも鞍上は悠である。

社来ファーム生産のノーザンテースト産駒。
全姉のスカーレットリボンも重賞勝ち馬。
柴原政で新馬戦を勝ち、的矢で札幌2歳ステークスを制して、悠が跨ったのは3戦めから。
阪神ジュベナイルフィリーズでは2着に敗れているが、勝ったイソノルーブルは桜花賞でも最有力候補に推されている馬だ。

スカーレットブーケの評判はデビュー前から樹里の耳にも入っていた。
実はこの馬の共同馬主に佐原(実際には祐志)が出資しているからだ。

相変わらずと言うか、いい馬といい女を嗅ぎ分ける嗅覚だけは確かだ。
その辺りの能力は認めざるを得ない。

そしてレースはブルーリーフとゴールドナゲットの最内枠2頭が引っ張る展開でスタートした。
スカーレットブーケはそれを見る4番手辺り。
その横には2番人気のブルーベイブリッジ。
サムシングブルーは3番人気のフラッシュシャワーやダンスダンスダンスと共に中団辺りに位置していた。

エイミーの時は前目に位置したサムシングブルーだったが、元来スタートは得意では無くダッシュ力も高く無い。
故に普通なら中団追走の競馬になるので、岸田のこの辺りのレースの進め方は間違いではない。
むしろこの馬にロケットスタートさせたエイミーの方が規格外とも言える。

前半の1000mは59秒4となかなか速い。
結局ブルーリーフの柏木がハナを取りきってゴールドナゲットの杉山は2番手で落ち着きかけるが、その後ろは割りとごちゃつく展開に。

先行ポジションのブルーベイブリッジの蛯原の手綱が早々と動き始めたのを見て悠は少しその外に出して徐々にギアを上げていく。
その後ろにサムシングブルー。今回は脚をためる作戦に出ることにした。

牝馬らしい神経質な所もあるサムシングブルーにとって、この速い流れは悪くは無い。
岸田も若手ながら神経質な牝馬の折り合いをつける腕前は非凡な所がある。
その岸田のエスコートで中団を進むサムシングブルーは、先行集団を見ながらコーナーを曲がって行った。

そしてこの速い流れの中で先行集団に位置するスカーレットブーケ。
先行馬にとって間違い無く苦しい展開である筈であったが、悠は確かな手応えを感じていた。
スカーレットブーケはこのハイペースでも余裕があるのだ。
むしろコーナーを曲がりながら、いつ先頭を交わすかを図るだけの余裕すらあった。
つまり、このメンバーの中で能力が一段抜けていたのだ。

コーナーを曲がりながら持ったまま逃げ馬の後ろにピタリとつけ直線に向かう。
府中の長い直線の追い比べが始まると同時に逃げ馬をサッと抜き去る。

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