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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 403

ロベルトは1972年の英国ダービー勝ち馬。
それだけを聞いたら素晴らしい実績の持ち主だと思うだろう。

ただしそのダービーは直前に鞍上の乗り替わりが騒動になってしまい、ファンから祝福されない勝ち馬の扱いとなってしまう。

さらにアイルランドダービーを大敗した後に挑んだインターナショナルステークスでは歴史的名馬ブリガディアジェラードを破る大金星を挙げるのだが…これもまた歓迎されない勝利であり、ロベルトは世紀の悪役というレッテルを貼られてしまうのだ。

このように競走生活は理不尽に不遇だったロベルトであったが、種牡馬としては大成功と言える活躍を見せていた。
その活躍は同じ父を持つヘイロー以上とも言われ、ヘイルトゥリーズンの系統を牽引する存在になっていた。
日本でもリアルシャダイが実績を残し、また新たに輸入されたブライアンズタイムの評判も上々だった。

そんなロベルトを見た事のあるエリックは、ライスシャワーがロベルトによく似た優れたポテンシャルを持つと見ている。
故に期待も大きいのだ。

「去年が苦労しただけに、今年はスムーズにデビューできそうな仔が多くて安心ね」
「ああ、だが儘ならないのも競馬なのさ」

ライスシャワーはデビューに向けて順調に調整を続けている。
これなら予定よりも早く預託先である美浦の飯島厩舎に送り出すことも可能だろう。

その一方で…
若駒ステークス2着で期待のかかっていたナイスネイチャだが、次走に向け調整に入ろうとした矢先、骨膜炎を発症していることが判明する。

「この馬は古馬になってからが勝負です・・・残念ですが春は休みましょう」
「残念ですが仕方ありませんね」
松中調教師は即座に休養を決断し樹里にそう報告する。
ナイスネイチャは春のクラシックシーズンを全休し、秋の菊花賞に向けて治療及び調整をしていく事になった。


北米では樹里の唯一の持ち馬であるノースウインドがペガサスワールドカップで勝利。
適距離からは若干長い1800mであったが、有力馬の回避と予想外のハイペースがノースウインドに味方したのだ。
クリスはノースウインドの次走をドバイ遠征に決める。
ターゲットとしたレースは、短距離でもマイルでもなく彼にとっての距離の壁・・・
ドバイワールドカップであった。

そのノースウインドの鞍上は昨年から好調が続くクロエ。
年初からも順調に勝ち星を重ねてきていた。
まだ若い彼女だが、最早騎乗技術も堂々とした立ち振る舞いもトップジョッキーの風格が出てきていた。

だが、年初からはその好調のクロエを上回る勝ち星を上げるものがいた。
クロエの姉のエイミーだった。

妹に追いつかれ追い越され、自らの成績は頭打ちになりジョッキーとしての限界を感じ始めていたのは昨年夏までの話。
昨秋の来日は日本競馬だけではなくエイミー自身にも非常に大きなプラスをもたらしていた。

そんな自信と腕前を取り戻した姉の存在をクロエは喜び、さらに自信の腕を磨くチャンスだと感じていた。

ドバイワールドカップに挑むノースウィンド。
エイミーはその最大のライバルとも呼べるアンブライドルドの鞍上を託された。

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