PiPi's World 投稿小説

駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 395
 397
の最後へ

駆ける馬 397

天皇賞ではまさにそのパターンでの凡走。
ジャパンカップでは馬自身がヘソを曲げてしまったかのごとく走る気がなく大敗。

増川は日本を代表するトップジョッキーのひとりであり澪も瀬戸内もその腕を否定するつもりはもちろんない。
ただ、オグリとの相性があわない……それだけだと澪は思った。

「澪以外にそうやって乗れる人間がおれば苦労はせえへんのやけどな」
「ふふ、私じゃなくても出来る人はいますよ、先生」

澪の言葉に瀬戸内はニヤリと笑う。

「せやな・・・心当たりが一人おったわ」
「ふふ・・・ラストランの楽しみが増えましたわ」

お互い意中の人物が同じである事を確認した瀬戸内と澪は、飼い葉桶に頭を突っ込んでモソモソと食べているオグリキャップを見ながら微笑むのだった。


松中善厩舎に預託されていたナイスネイチャが松中昌彦を背に京都開催の新馬戦でデビューした。
初戦は後方からの競馬となり、最後の直線で進路が塞がる不利を受けながら僅差の2着に追い込んだ。
そして中1週で挑んだ2戦目で1番人気に応え初勝利・・・
年明けの若駒ステークスに向けて調整される事になったのだ。

そしてエイミーの騎乗で連勝を続けたサムシングブルーは、阪神JFではなく全日本2歳優駿を選択。
クラシックを目標にするなら阪神JFの方が良いのだが、寛子は脚元の状態などを考慮してダートレースを選択していた。
レースはエイミーの積極的な先行策で勝利。
異国であれ、彼女にとっては慣れたダートのトラックコースで乗りやすさもあったようだ。

「アメリカとは全然違う雰囲気のコースだったわね、一緒に乗ってたジョッキーもなんかクセのある人ばかりで……あと、日本でもナイターのレースがあったのね。ドバイで『彼』と挑んだときを思い出したわ」

エイミーは初めての地方競馬体験をそう振り返った。


短距離GTを連勝したアクアパッツァは香港遠征も視野に入れていたが軽い熱発が出たため大事をとって回避。
来年の短距離戦線に向けていったん休養することになった。

アメリカではノースウインドが故障で秋シーズンを全休。
復帰はペガサスワールドカップからとなり、現在調整中である。

クロエにとってはクリミナルタイプも引退とあって、ブリーダーズカップに騎乗する有力馬が減ったのが痛い所だった。
だが、自厩舎のライブリーワンでクラシックを4着と、見せ場を作ったのは流石と言えた。

そんな中、サムシングブルーとナイスネイチャはデビューできたものの、ツインターボの調整は遅れに遅れていた。
牧場でも不従順な所があり苦労して矯正したものの、美浦に来てから悪化・・・
調教に手こずりデビューも遅れる事になりそうだった。
ただ、スピード能力はずば抜けており、急いでクラシックに間に合わせるのではなく、じっくり育てて行くと預託された笹村調教師は苦笑いしながら樹里に語ったのだ。

シロノライデンもデビューできたのは皐月賞が終わった後だったし、デビューまでこぎ着けられなかった馬だっているのだから、樹里には驚きもないし落胆もない。
無理に仕上げようとしてアクシデントが起こるよりはじっくり待った方が良い。
そこはプロである厩舎スタッフにすべて任せている。

オグリキャップはラストランの有馬記念に向け順調に調整を続けていた。
そしてオグリのラストランの鞍上は悠に決まったのだ。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す