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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 384

アクアパッツァは前走のセントウルステークスで初めての古馬相手も問題なく勝利した。
それもあって今回も断然と言っていい1番人気。
ただし相手は前走よりグンとレベルは上がっている。

バンブーメモリーとパッシングショットという短距離・マイル路線のトップクラスの古馬が差がなく続き、さらにストロングクラウン、ダイタクヘリオスといった力をつけてきた3歳牡馬もいる。

エイミーの見る限り、質は悪くない。
競馬後進国と聞いていたからレベル差があるのかと思いきや、馬も騎手達も一定の水準には達している。
無論、馬の質や技術面でアメリカと比べるのは酷だし、アメリカでも彼女の乗っていたサンデーサイレンスのクラスはそうはいない。

任されたアクアパッツァの感触は悪くない。
ウィッチ厩舎だと中堅クラスぐらいの質はある。
それはつまり、アメリカで重賞を狙える程度の実力と言う事だ。
スピード能力はノースウィンドには劣るものの、トータルバランスはこちらの方が良い。
樹里の所有馬と言う事で納得したが、このレベルを生産できるなら日本の競馬界の未来は暗くはないだろう。

(まあ、きっと・・・彼の血が日本を蹂躙するんだろうけどね)

アクアパッツァならサンデーサイレンスのパートナーに丁度良いだろう。
エイミーはそんな風に想像しながらも、彼の活躍を疑ってはいない。
いずれこの国はアメリカに負けない競馬大国になる・・・
その前に来れたのはある意味ラッキーだと思えた。


レースもスタートはまずまず出て、流れに乗ってポジションを取りに行く。
ダイワダグラスが先手を取り、ナルシスノワールが2番手。
岸田鞍上のダイタクヘリオスが好位について、アクアパッツァもそれに並ぶように外へ。
本来なら悠が乗る予定のバンブーメモリーは後方集団にいる。

舘厩舎のバンブーメモリーは、息子に乗せるだけでなく多くの騎手が騎乗していた。
悠に続いて多いのが松中昌彦、それ以外には河井や岡江や岸田なども乗っている。
その中で岡江はシンウインド、岸田はダイタクヘリオスに騎乗。
舘調教師はそんな中でG1であるから河井をパートナーに選んでいた。

河井から見たバンブーメモリーは一言で言うと強い。
相当距離の柔軟性はあるが、短い距離程強い。
層の厚い中距離では中々勝ち切る事は難しいが、マイルであればオグリキャップと渡り合える力を見せるし、短距離となれば無類の強さを発揮できる。
まだ日本の競馬界は長距離信奉が強く短距離は軽視されがちだが、馬産地では社来を中心にスピード型への転換が図られているし、いずれ短距離戦も今より評価されるようになるだろう。
そう言う意味でバンブーメモリーも、もう少し時代を経ればもっと評価されていたかもしれない。
そう考えると惜しくはある。
故に勝って評価を上げさせてやりたいと河井は思っていた。
そう思うだけの素材なのだ。

本質的にはマイルの方が良いタイプかもしれない。
だが、種牡馬になるなら幅広い距離をこなせたら良い…だからスプリント戦でもタイトルが欲しい、という思いもあった。

(あとはあの姉ちゃんがどんな競馬をするかやなぁ)

河井はエイミーの初勝利のレースでも一緒になっており、脅威であることは理解していた。

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