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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 382

惚れた男にとことん尽くすというところでは澪はこの母親に似たのかもしれない。

「それと、娘のダーリンがこの彼なのよ」
「ホントに?」

ちょうどアクアパッツァのレースを見返していたエイミーの、モニターを指して理沙が言う。

そう言う理沙の顔はちょっと嬉しそう。
娘婿は彼女のお気に入りでもあるのだ。

何となくだが、雰囲気がアイクに似ていた。
女として枯れていたと思っていた三十代の彼女を再び女に戻した彼にだ。
いや、メスになってしまったのだ。
彼と恋に落ち、交わりを持った時・・・
自分でも信じられないぐらい激しく求めたし求められた。
元夫とはそれまで数年はレス。
その交わりも激しさは無かった。
子を成した事で男女の関係は終わったかのような関係は、情はあれど冷え込んだ間柄になっていった。
その冷え切った心をアイクは一瞬で溶かし、凄まじい勢いで燃やしたのだ。
そして理沙はメスになったのだった。

そして久しぶりにあった娘は女らしく成長し・・・
しっかりメスになっていた。
そして子供を産んでもまだメスのまま。
アイクと理沙の結婚生活がそうであったように、本当に熱い関係のまま娘は2人目を授かっていた。
その熱々の娘夫婦が嬉しい理沙・・・
こんな感じで母と娘はソックリなのであった。

「まだまだ家族が増えそうな予感がするのよねぇ」

理沙が手帳の中に忍ばせた写真をエイミーに見せる。
澪とその娘……理沙にとっては孫でもある子のツーショット。

「へぇ、可愛い」
「この歳でおばあちゃんって言うのもまあいいかなって思うのよ」

そんな理沙の親バカ話はこのあともう少しだけ続いたのだ。

そして、日曜日のエイミーの乗鞍は2つ。
関東遠征と言う事と、エイミー自体の知名度の問題で限られた騎乗依頼の中で、奥原厩舎が馬を回してくれていた。
1勝クラスを中々勝てない4歳牡馬で、騎手を変えて再挑戦と言うタイミングの馬であった。

テン乗りのエイミーだったが、ポテンシャルはもう少し上でやれる感はあるものの、気性が問題だとは聞いていた。
その通り、パドックでも煩いがエイミーを乗せると更にヒートアップしていた。

「はいはい、キミはワタシとこれからレースするんだよ」

荒ぶって少々跳ねても動じないエイミー。
これぐらいなら黒い暴君と比べれば大人しいものだし、この程度跳ねた所で振り落とされる程でも無い。
とは言え、跳ねる馬の上でも全く姿勢すら崩さないエイミーのスキルに関東の騎手もびっくりしながら見ていた。

「素晴らしいね!本場のジョッキーは若くとも手練だね!」
「競馬は曲芸ではない・・・だが、上手いのは事実だ」

感心する岡江と柴原の両ベテラン。
彼らはいいものを認める柔軟さを持ちつつも、それぞれ警戒レベルを上げる。

まるで曲芸師のように器用に馬を宥めるエイミーに、周囲の他馬の関係者たちがざわつく中、唯一冷静なのがその馬をパドックで引く愛美だった。

「この仔はいつもこんな感じなの?」
「そうだね。誰が乗ってもね」

愛美は澪を通じて寛子とも交流を持ったし、自身も海外遠征に帯同する機会もあったことから、それなりに英語をマスターしつつあった。

「今日ダメだったら去勢も考えられるわ」
「ワオ、それはもったいないわね」

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