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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 381

エイミーはキャサリンの挑発にも似たような言葉にぐぬぬと唇をかみながらも、しばらくの間考え続けた。

最初は遥に自分がクロエをリードしていて。
いつの間にかクロエが自分に追いつきだしていて。
そして自分を追い越すようになって。
加えて、せっかく巡り合えた最高のパートナーは志半ばにして無念の故障引退。

「もし、日本で乗るとしたら…」
「最大限エイミーをサポートするわ。そのために環境は整えてる」

「お願いします!」

そこまで言われれば断る理由も無い。
そう快諾したエイミー。
そこから色々と手続きを急いだ結果・・・
どうにかスプリンターズステークスに間に合い、10月から年末までの3ヶ月間の短期免許が交付されたのだった。


そんな特例措置で騎乗する事になったエイミー。
西海岸で若手の有望株とは言え、日本での知名度は皆無。
それでも彼女の引受先の寛子の伝手で土曜日から阪神で6鞍確保できた。

その初戦・・・
ダート2歳未勝利。
距離との兼ね合いでここを選んだサムシングブルーをロケットダッシュで先頭に立たせてそのまま押し切り勝ち。
見事に悠とは違うアプローチで代役をこなして見せた。
その次の2歳新馬では、人気薄を大外一気の強襲で差し切り勝ち。
日本デビューでいきなり連勝スタートを飾ったのだ。

その日はこの2勝止まりだったが、残り4レースでも人気以上の健闘。
関西のベテラン南や河井が『あの姉ちゃん何もんや?!』と言うぐらいの内容を残し、エイミーは東京に向かった。

翌日に控えたGT、スプリンターズステークスのアクアパッツァの騎乗を前に、エイミーはこれまでの彼女のレースの研究をしていた。
来日してから調教では何度か乗ったことはあるが、レースになると別のものが要求される。

「スピード、瞬発力も申し分ない馬ね…ただ勝ってるとはいえ1200がベストな馬ではないから…」

そう言いながら、調整ルームに持ち込みを許されたビデオテープを何度も見直す。
特に前走のセントウルステークスが参考になるのだが、その中で目につくのはアクアパッツァの主戦の悠の上手さだった。

悠はエイミーより1つ年下。
ほぼ同世代な訳だが、彼女の知る限り世代トップクラスのスキルを持っている。
エイミーとはスタイルこそ違うが、これ程の実力者が競馬後進国に居るとは思わなかった。

「戦う機会があれば面白いよね」

彼は海外遠征とかもありすれ違いだったが、年末までに戦える機会はあるだろう。
彼の妻とは会って、彼女が英語を話せる事で意気投合したから話せる機会も多いとは思う。
それにエイミーの通訳兼バレットは彼の義母らしい。


彼女の通訳・・・
相沢理沙は澪の実母である。
今年50歳の彼女は、短期免許第一号と言われるアイク・ベネットの通訳を当時務めていた。
今回は濱松厩舎がエイミーの身元引受人になった事から、所属する澪の縁で通訳兼バレットになった訳である。

「子供さんは大丈夫?」
「大丈夫よ、娘が見てくれてるから!・・・今じゃすっかりいいママしているしね」

小さい子供が居ると聞いて遠征まで付き合ってくれる理沙にそう聞くエイミーだったが、当の理沙は子供達を澪に任せてあっけらかんと笑っていた。
実は彼女、澪以外に3人の娘が居るが、それはアイクとの娘である。


アイクの通訳として3ヶ月間側に居た理沙だったが、彼との出会いは一目惚れだったらしい。
彼もそうだったようだが、互いに結婚する身。
だが、そんな事は関係無く2人は恋に落ち肉体関係を結んだ。
因みに澪は2人が愛し合ってる事を理解していたが、綺麗になっていく母と紳士的なアイクに好感しか無かったらしい。

そしてアイクは毎年休みが取れると理沙に会う為に来日し、澪が馬事公苑に入る頃に元から関係の悪かった両親が離婚。
アイクの方も離婚が成立し、理沙はアイクと結婚し渡米していた。
そして3人の娘を産むが、アイクが不慮の事故で亡くなり、澪の出産を機に日本に戻ってきていた。

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