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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 370

「思った通りだ・・・招待した甲斐があったよ」

マルベリー伯爵夫妻からは満面の笑みでの言葉をかけられ、何人かの大馬主を紹介して貰えた。
その中でも大の競馬好きと言われる女王と対面でき、声をかけられた事が大きな事だった。
これでダンシングブレーヴ購入の名分が立ったのである。

クリークの方は負けたものの状態は良く、このまま真夏の大レースであるキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに向かう事となった。
同じアスコット競馬場開催で同じ距離。
今回の内容で悠もリベンジを誓いつつも自信を深めていたのだった。


一方、マルベリースタリオン。
ダンシングブレーヴの馬房前でエリックは実母のルイーズを背中越しに抱きしめていた。

「凄いだろ、俺達のママは」
「本当ね・・・妬いちゃうわ」

エリックに乳を股間を弄られ恍惚の表情のルイーズ。
エリック達息子を男にしたのはルイーズであり、スノーベリー家にとってこれは当たり前のスキンシップであった。
その2人の目の前では、偽牝台の中に入った幸子が喘いでいた。

馬の逸物を受け入れる事は慣れた幸子だったが、ダンシングブレーヴは中々の暴君だった。

幸子が大好きなサクラスターオーは気遣いのできる紳士であり、アフターケアも優しさがあった。
だが、病魔に侵されていてもダンシングブレーヴは王者の風格と威圧感を持っており、最初から幸子を支配するメスとして見ていた。
故に挿入から腰使いは荒々しく、メスを力ずくで屈服させるオスのセックスそのものだった。

「んああぁっ!キツいっ!キツいのぉぉっっ!!」

ただてさえ巨大な馬の逸物。
それが激しく動くのは快楽よりも苦痛の方が先にくる。
オスがメスに立場を分からせるようなセックスは、エリックが最初そうだった時以来だった。
そのエリックも今では甘える感じや気遣いも入ってきたので変わってしまったが、これはまさにメスに己の存在を刻んで屈服させるセックスだった。

だけど嫌じゃない。
このまま屈服して彼のモノになりたい。
そう思わせるのが、病魔に侵されながらも王者の風格を失わないからこそだろうと思えた。
そしてルイーズも、そんな幸子にダンシングブレーヴが託せるだろうと感じていた。

「ここまでの姿を見せることは、めったにないわ。彼女も、大したものね」
「そうだろう」

ルイーズはエリックに静かに、優しく言う。
「彼のことを任せてもいい?」
「もちろんだ」
「よろしく頼んだわよ。できることなら、彼の子供でイギリスに来て」

馬房で幸子の悲鳴、しかし幸せに満ちた悲鳴が響いたのだった。



そして、ダンシングブレーヴ購入のサインが締結されてすぐ樹里はアメリカに向かっていた。
サンデーサイレンス故障の連絡を受けたからだ。

サンデーサイレンスは惜敗後、イージーゴアとのマッチレースに向けて調整されていた。
そのイージーゴアは先立って故障が発表され、早々に引退が決まった。
名血の一族でありアメリカの至宝たるイージーゴアは種牡馬としての輝かしい未来も約束されており、最早無理に復帰させる必要は無かったのだ。

それと違ってレースで結果を残す以外に評価されないサンデーサイレンスは、イージーゴアとのマッチレースが流れた所で現役を辞める選択肢が無かったが、少し面倒な故障を発生した事で樹里と吉野が呼ばれた訳だ。
つまり、サンデーサイレンスの競走馬としてのキャリアが終わると言う話であった。

まだ種牡馬施設が万全でない涼風ファームは、現状手のかかるサクラスターオーとダンシングブレーヴが居る以上受け入れは難しい。
故に受け入れ先は吉野の社来となるだろう。
故に吉野とはシンジケートの配分とかの話をしなくてはならない。

クリス、それにエイミーの表情は暗く、無念さが漂うものだった。

「これでリタイアというのが残念ね…大きいレースは何度も勝たせてもらったけど、完璧に乗りこなせたと思えた会心のレースは一つもないような気がするわ」
主戦のエイミーは今までを振り返って言う。

「ラストランはぜひ日本でお披露目も兼ねてと思ってたけど、上手くは行かないわね」
「それも競馬ですね」
「日本でサイアーとしての引き受け手があるだけ感謝しないといけないわね」

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