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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 363

ただ、どこで動くかはエイミーにとっては悩みどころだった。
早めにクリミナルタイプに並んでいくのもいいのだが、そうなると消耗戦になった時に最後に斤量の差が大きく出る。
相手は2kgも軽いのだ。

そんな事を考えている間に先頭の逃げ馬をクリミナルタイプが捕まえにかかる。

「早すぎるっ!」

どう考えても早い仕掛けにエイミーが驚く。
どちらかと言えばハイペースの状況。
しかもこのラビットは先行勢を潰す目的の逃げなのだ。
じっくり仕掛けるのが定石ではある。

だが、それを知りながらクロエは仕掛けた。
つまり彼女の中にサンデーを破る戦術はこれだと言う戦略あっての事だろう。
思えばスタートからサンデーの前に出たのも、そう言う戦略だったのだろう。

エイミーは迷う。
普段ならクリミナルタイプが動いた事にサンデーがヒートアップして追いかけるのをエイミーが宥めるパターンである。
だが、今日のサンデーは驚く程静かにクリミナルタイプが行くのを見送っていた。
折り合ってる・・・
そう言えば聞こえが良いが、それ故にエイミーは悩む。
まだ点火前のサンデーに無理矢理火を点けるべきだろうか・・・
明らかに早いタイミング、まだアイドリングでしか無い相棒。
それがエイミーに躊躇いを生んでいたのだ。

いつも通りに行きたい、でもいつもと何かが違う。
そんなサンデーの雰囲気にエイミーは戸惑い、悩み、ためらってしまう。

前はじわじわと動いていくクリミナルタイプ。
その差が迷っている間にジリジリと少しずつではあるが開いていく。

こうなったら、腹を括るしかない。
エイミーは祈る気持ちでここは堪え、ひたすらその時が来るまで待つ事を選んだ。

行く気を見せないサンデーに多少違和感があるが、行かないと決めた以上、後はタイミングを待つだけだ。
確かにイージーゴアなどと比べると、超一級品の切れ味は持ってはいないが、サンデーの瞬発力も一流レベルではある。
特に柔らかい背中の筋肉を使ったストライドは、一気にトップスピードまで加速する程である。

そんなサンデーを良く知るクロエは更に仕掛ける。
4コーナーに入ると先頭を奪取。
そのまま加速して引き離す。
そして直線入り口ではサンデーに5馬身以上の差をつけていたのだ。

その直線。
入ると直ぐにエイミーは鞭を入れる。
さっきまで行く気を見せなかったサンデーが低く身体を沈め、爆破するかのような加速を見せる。
これはエイミーの知るサンデーの本気の脚・・・
それまでの行く気の無さが嘘のように火の付いたサンデーが先頭を猛追する。

先に抜け出して粘り込みを図るクリミナルタイプとの差をどんどん詰めていく。
クリミナルタイプとて手ごたえはまだまだ余力十分だが、勢いは明らかにサンデーの方が上だ。

クロエはそれでもまだ余裕を持っていた。
手綱をグイッと動かしてクリミナルタイプを再加速させる。
切れでは劣るかもしれないが、こっちも負けないものは持っている。

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