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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 361

とりわけ牝馬との相性が良い。
女性ファンが多い、のとはまた違うが馬への当たりの柔らかさが牝馬との好相性を引き出すのだ。

キョウエイタップのようにまくって上がる馬がいれば自ずとペースは上がる。
そうすれば後方で脚を溜める馬には絶好の展開だ。

ディザイアよりさらに後ろにいるのがエイシンサニー。

鞍上は岸田。
昨年まだ十代でG1制覇してのけた舘悠に続く若手のホープ。
G1に勝った事で自信をつけてオークスに挑んできている。
松中にとっては悠も岸田もいい後輩だが、先を越されたと言う意識はある。
爽やかかつ穏やかな性格で内面を出さない松中だが、闘争心が無い訳ではない。
その闘争心を上手く抑えれる性格こそが精神的に不安定になりやすい牝馬の騎乗に向いている部分でもあった。

そしてディザイアも激しい闘争心を内に秘めるタイプ。
闘争心を溜めれば溜める程、爆発力を増すのだ。
故にエイシンサニーの動きを確認はしたが、先に行くなら行けと自分のペースで走らせる。

一方、アグネスフローラを見る位置で追走するダイイチルビーと悠。
ポテンシャルならここの中でもトップクラスと思ってはいるが、何せ馬がまだ若い。
しっかり走っている感は無いのだが、脚元がまだしっかりしてないので無理はできない。
ただそれでも少しでも順位を上げたいのが騎手の性だ。

前方は逃げるトーワルビーにケリーバッグが差を詰め、キョウエイタップがじわじわと外めから上がってくる。
アグネスフローラは先団馬群の背後でまだ脚を溜めている段階だが、その後ろにダイイチルビーがヒタヒタと迫っていた。

4コーナー。
後方のディザイアとエイシンサニーも進出開始する。
大外から一気に上がっていく。

そして直線での攻防・・・
先行勢の脚が止まる中、馬群の真ん中から伸びてきたのはアグネスフローラだった。
勢いよく伸びると先頭に立ち、そのまま押し切ろうと河井が追う。
母のアグネスレディも河井の騎乗でオークスを制覇しているが、その時以上に手応えがあった。

そのアグネスフローラをダイイチルビーが猛追する。
無理はさせてはいけないと言いながらも、やはり勝負となるとそうも言ってられない。
しかもダイイチルビーが思った以上にしっかりと走っていたからこそ、悠もここぞとばかりに追う。

先頭に立ったアグネスフローラ、それを追うダイイチルビー。
母がオークス馬同士の叩き合いは観客を沸かせるが、主役を演じるのは彼女達だけではない。
大外からそれ以上の脚で駆け上がってくる2頭・・・
ディザイアとエイシンサニーだ。
関西の若き才能、松中と岸田が主役はこちらだと言わんばかりに必死で追い、それにディザイアとエイシンサニーが応える。
2頭の凄まじい末脚は、あっと言う間に先頭に迫っていく。

直線半ばを過ぎて、一瞬4頭が横並びになる。
激しい競り合いに歓声がひときわ大きくなる。
4頭、4人の鞍上にとっては誰もが負けたくない…

しかし3歳牝馬にとって未経験の2400mという距離が、その思いを徐々に蝕んでいく。
競り合いの中でダイイチルビーがやや力尽きて伸びを失う。
アグネスフローラも苦しい。

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