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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 354

ベテランだけにフケが来ても落ち着いているアキネバーに対し、落ち着き無くソワソワしているスターオー。
元来大人しい馬では無いが、これはレースに向けたような気持ちの昂りでも、メスを前にしたイレ込みでもなく困惑と言う感じに見える。

「万年発情しているメスと違って馬は初めてだからな」

そんな状況でも落ち着いているエリックが幸子の尻を軽く叩く。
幸子はこの新しく作られた種付け場でも全裸・・・
この種付け場と種牡馬の馬房は、祐志から作るように言われて昨年末から建設していたものだ。
現状サクラスターオーのみしかいないが、今後は種牡馬も導入するべきと言うのは祐志もエリックも考えている。
無論、費用を出すのは樹里だが、幸い本業の方は毎年最高益を更新するぐらい好調なのもあり、資金は潤沢だった。

そしてスターオーの方は中々準備が整わず、万年発情してるメスこと幸子が下に潜り込んでフェラで勃起させ、ジョンとニックが曳いてアキネバーに跨らせる。

スムーズとは行かなかったものの、幸子で練習したから腰はちゃんと振れて射精まで持っていけた。

ただ、射精後すぐに身を離し幸子の方に身を寄せる辺り、全く慣れきっていない感がよく出ていた。
ここで手慣れた種牡馬なら牝馬に対してアフターケアがあったりするのだが、スターオーに関してはそんな余裕も無いようだった。
逆にアキネバーの方が『あら、終わったの?』と始終落ち着いた様子だったのだ。

「受胎すればいいよね」
「まあ、アキネバーは慣らしの相手だ・・・そこまで多くは求めていない」

ジョンの言葉にエリックが答える。
精子の運動量的に受胎率の高くないスターオーと、高齢で受胎率の下がっているアキネバーだけに受精は半々と言った所だろう。
今年は他の牧場から繁殖牝馬を募集もしないし、涼風ファームの若い繁殖牝馬とも交配は考えていない。
後、数頭交配させて残りは幸子相手にトレーニングで今年は過ごさせる予定だ。
シャダイソフィアと言う案も吉野から出ていたが、それは時期尚早であろう。

シャダイソフィアは吉野の思い入れのある良血ゆえ、もっと良い種牡馬を選びたいという思いがエリックたちの中にある。
吉野が以前購入したアンティックヴァリューはシャダイソフィアと血統構成が似ていることから彼女の相手を参考にしようと思っているところなのだ。

「トニービンか?」
「ああ、トニービンもいい。でも今は『アイツ』を早く付けたいな。ヘンリーもそう思わないか?」
「まあ、そうだな。来年以降が楽しみだな」

彼らの言う『アイツ』ー言うまでもなく、サンデーサイレンスのことである。

彼らはトニービンも高く評価しており、重厚な血統構成なトニービンは日本の柔軟過ぎる血統と組み合わさると爆発的な能力を発揮すると思っていた。
サンデーサイレンスはタイプが違うが、彼も爆発的な能力を産駒に伝える能力があると見ていた。
そのサンデーサイレンスの能力に惚れ込んだ吉野やエリックは、この時点から日本競馬に血の革命を起こすと考えていたのだ。

「故郷に血を還す・・・ホースマンとしてやりがいのある仕事だ」
「ああ、兄貴・・・無論、馬だけで無く俺達の血もな」

エリックとヘンリーはそんな風に言いながら互いに笑い合ったのだ。



牡馬クラシック第一弾、皐月賞。
2歳チャンピオン、アイネスフウジンとメジロの期待の星メジロライアンの一騎打ちかと思われた。
だが、勝ったのはハイセイコーの白い刺客、ハクタイセイだった。
ただ負けたメジロライアン陣営は距離が延びたダービーこそ本番と考えていたし、アイネスフウジンも元来はスタミナ血統の塊シーホーク産駒だ。
その2頭は次走に巻き返しを狙っていた。


そして迎える天皇賞・春。
大阪杯を勝ってここに挑むスーパークリークは断然の1番人気に推される。
それに続くのはイナリワンで、ほぼ一騎打ちの様相となる。
サクラホクトオーがそれに続いているが、その後のオースミシャダイやミスターシクレノンはオッズがだいぶ離れている。

イナリワンは今年初戦の阪神大賞典が見せ場のない5着。
悠はそのレースではミスターシクレノンに騎乗して、スローペースに落とし込んだ逃げで2着。
昨年も前哨戦では負けているイナリワンだが、巻き返してくるのは間違いないとみていた。

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