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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 352

エリックたち4兄弟曰く、自分たちの母親も幸子によく似た性格らしい。
彼らの姉であるアネットも、そんな母親に対して反抗的になって幸子にとっての真奈のようにグレてしまい家出してしまうことがあったという。

「同じ女だと育てるのに苦労することもあったわ、真奈もそうだったもの」
「結局子供作ってきちゃうのも姉貴に似てるよね、マナも」

彼らの姉のアネットは真奈より一つ上で、奈帆と同い年の娘を筆頭に8人の子持ち。
更に最近9人目が腹にできたと聞いている。
そして、既に長女のウィンディも子供がいるので祖母になっているのも真奈と同じだ。
因みにウィンディは奈帆と親友となり、長女は奈帆の長女と同い年。
その歳に生まれたアネットの娘も含めて、種は祐志である。
そして遡れば、アネットの長女と同い年の娘をエリック達の母も産んでいるので、歴史は繰り返すと言うやつだ。
更に言えば、エリック達の母の最後である14人目の子供は、娘と孫と同い年・・・
これも祐志の種であった。

こんな風にエリック達も故郷から遠い地で、故郷と同じ理想郷を作った訳だ。
スノーベリー家は古くからアイルランドで馬産をしてきた家柄で、牧場のあるスノーベリー村には彼らの一族ばかりだ。
故に血が濃くなる弊害がある為に、女が家を継いで守り、男が外に出るしきたりがあった。
その為にエリック達も故郷から出る事は覚悟していたが、それがまさか辺境の競馬後進国である日本だとは思いもしなかった。

欧州やアメリカに比べて後進国であっても、競馬に情熱を注ぐ者がいるなら彼らに手を差し伸べ、時には共に戦うこともありながらお互いのレベルアップに繋げていく…

吉野や岡山といった日本のトップホースマンの意識にエリックたちは感銘を受けることも多々あった。

「彼らの情熱は並々ならぬものがある。日本の競馬はいずれ欧米に追いつく日がくるのも、夢物語じゃないはずさ」

そしていずれは・・・
その血を本場に還したいとエリックもヘンリーも誓っていたのだ。

「その為にはスノーベリーの血をもっと入れないとだな」
「ああ、彼女達に良いパートナーを見つけて沢山子供を作って貰わないとな」

馬作りは人作りと言うのは、どこの地でも同じ。
由紀がニックと言うパートナーを連れ帰ったように、彼らのパートナーの娘達にスノーベリーの一族から婿を迎えるつもりでいた。
そうなればもっと牧場として強化できるだろうと夢を持ちながら、エリック達もまた将来のプランを考えるのだった。



春シーズン、クラシックのスタートである桜花賞。
本命は濱松厩舎の2頭、ディザイアとアクアパッツァであった。
無論、それ以外にもアグネスフローラ、ケリーバック、エイシンサニー、イクノディクタス、ユキノサンライズ、サクラサエズリと今年は有力馬も多い。
だが、ディザイアとアクアパッツァが抜けていると言う評価だ。

ともに樹里の持ち馬である為寛子は当初使い分けも考えていたが、両馬ともマイルでいいパフォーマンスを見せていたことから2頭出しすることを決めた。
アクアパッツァの方はマイラー志向が強いと寛子は踏んでいるが、結論は桜花賞の結果と主戦である悠の判断に委ねている。

それに続くのがトライアルで僅差まで迫ったアグネスフローラ。
母アグネスレディーの主戦でもあった河井にとって何としても勝ちたいレースだった。

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