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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 36

トップジョッキーの中のトップジョッキーに声をかけられ緊張する澪。
挨拶はした事があるけど、関東関西の壁だからか中々話す機会は無かった。
声をかけられただけで緊張・・・
そしてあの菊花賞を思い出してしまう。

「もう少し力を抜くんだね」
「はい、ありがとうございます」

彼のアドバイスもガチガチに返す。
そんな澪に強者の笑みを見せて去っていく岡江・・・
その背中は限りなく遠かった。

「健闘しましたね」
「ええ・・・しかし勝たせてやれず申し訳ありません」

樹里に対して頭を下げる仁藤。
シロノライデンは夏場から惜敗続きなのだった。
だが、樹里も仁藤もさほど気にしてる訳では無い。

「最長距離にも対処していました・・・次走はダイヤモンドステークスを考えています」
「はい、お任せします」

樹里が焦っていないのは仁藤を信頼してこそだろう。
それに晩成タイプのシロノライデンの活躍はこれからなのだ。

そして残りのG 1もあとわずか。
まずは中央ダートG 1のチャンピオンステークス。
人気は古豪ハツノアモイとアスコットエイト。
南関東三冠馬の称号を引っ提げて中央入りしたサンオーイ。
そして札幌でそのサンオーイを破ったローラーキング。
そんな中で激戦を制したのは、ハツノアモイ。
中央競馬初のダート王に輝いたのだ。

次に阪神ジュベナイルフィリーズ。
2歳牝馬チャンピオンを決するこの戦いは、快速馬エルプスとタカラスチールに関西馬タニノブーケの三つ巴。
これはエルプスが圧巻の逃げ切りを見せて制覇した。

朝日杯フューチュリティステークスはダイゴトツゲキが自慢のスピードを見せて快勝。

そして残すは有馬記念と、年内最後のG 1のホープフルステークスだけとなった。


そのホープフルステークスで本命となるのはスクラムダイナ。
出れば本命確実と言われた一等星、シリウスシンボリが来年のクラシックに向けて早々に休養に入った事で混戦模様と言われ、その後にはビンゴチムールやサクラサニーオー、そしてスターライトブルーが人気を分けた。

スターライトブルーは朝日杯ではなくホープフルステークスに矛先を向けてきた。
2000という距離を現時点でどこまでこなせるか、ある種のチャレンジだった。
ここで距離の壁にぶち当たったら来春はNHKマイルCを目標に、難なくこなすようならクラシック路線へ。仁藤は2つのプランを頭に入れて今回のレース選択をした。

ここの勝ち馬がクラシックの最有力となる、誰もがそう考えていたが、有馬記念デーの中山の新馬戦で新たなるヒーロー候補がベールを脱いだ。

ミホシンザン。

内国産種牡馬の雄、シンザンの産駒。
シンザンは内国産種牡馬不遇の時代にあって堅実に活躍馬を出し続けていた。
その中でもミホシンザンは久々の大器を予感させると評判であった。

そんな大器が見事に勝ち上がった新馬戦。
そして、当日のメインでは、既に名を上げたスターホース達が集結。
有馬記念である。

ファン投票上位のスターホース達の共演であるが、11頭とやや少なめの開催となった。
本命はやはり、三冠馬シンボリルドルフ。
ジャパンカップでは負けてなお強しと言う印象から不動の一番人気に推された。

迎え撃つ古馬勢はミスターシービーとカツラギエース。
そして女傑ダイナカール。
しかしやはりシンボリルドルフの勝ちは揺るがないと言うのが大方の見方だった。


レースは引退表明のカツラギエースがスローペースでの逃げに持ち込む。
それに対してミスターシービーはいつもより前目の中団後方につける。
シンボリルドルフは周囲を気にする事無く、自分のペースで先頭集団につけた。

正面スタンド前でシンボリルドルフは2番手につけ、いつでもカツラギエースを捉えれる体勢。
かなり早い仕掛けでミスターシービーの追い込みすら考えていない走りにも見えたが、カツラギエースの単独逃げの怖さを知る名手だからこその判断だった。

バックストレートからカツラギエースとの差を詰めていくシンボリルドルフ。
3コーナーで1馬身に肉薄。
それに釣られて後続も迫って行く中、ミスターシービーは馬群に飲み込まれていた。

焦るカツラギエースが手を目一杯動かして逃げようとするが、直線に入ってシンボリルドルフがあっさりと抜き去る。
そして単独で中山の坂を駆け登っていった。

カツラギエースも脅威の粘り腰でシンボリルドルフを追うが、ジリジリと差が開いていく。
そして、馬群をこじ開けたミスターシービーがようやく馬群をこじ開ける。

凄まじい末脚で追い上げるミスターシービーだが、余りにも遅すぎた・・・
それでも猛然と突っ込み、ゴール前ではカツラギエースに届く寸前まで持ってくる。
だが、ゴールを駆け抜けたシンボリルドルフは更にその先だったのだ。

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