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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 346

「サンデーサイレンスは日本とアメリカの競馬界を繋ぐ架け橋になってくれる存在になるだろう」

祐志の言葉にハンロックは感銘を受けた。
これだけの熱意を持つホースマンが日本にもいる、そう感じたハンロックはサンデーサイレンスの日本行きにゴーサインを出したのだ。

ドバイワールドカップ。
サウジカップの勝利でサンデーサイレンスの注目度は中東では一気に上がった。

アラブの資産家達からも種牡馬として買いたいと言う打診もあった。
彼らが買えば、アメリカもしくはヨーロッパでの導入が確定され、それは最もハンロックの願いであった。
だが、その提示額は余りにも低く、牧場経営の危機にあったハンロックにとって到底飲める額では無かったのだ。
逆に日本側からは、熱意と潤沢な資金が用意され、そう言う部分でもハンロックは日本への売却を決めた訳だ。

「あなたにとって、サンデーサイレンスのどこが良かったの?」

祐志にそう問う樹里。
樹里は初めて見た時から、彼の持つ王者のような圧倒的雰囲気に惹かれていた。
そして吉野は、彼の持つ潜在能力を見抜きそれに惚れ込んでいた。

「奴程の性豪は中々いないぞ」

情熱をかけてハンロックを口説き落とした祐志のその言葉に樹里は唖然とする。

「まるであなたみたいね・・・」
「そうかもな、なら必ず成功するぜ」

祐志はニヤリと笑みを浮かべるのだった。

サンデーサイレンスのライバルになるのはここでも先手争いを繰り広げるであろうイブンベイとホークスター。
再度クロエに鞍上を託すクリミナルタイプ。
サウジカップの再戦ムードが漂う。

その中で異彩を放つのがロジータの存在。

南関東で牡馬相手に無敵を誇った女傑は、満を持しての中央遠征こそ惨敗だったが、それならばと得意のダートで頂点を目指そうと参戦してきたのである。
無論、人気は全く無いし期待もされていないが、地方からの果敢な挑戦に樹里も応援していたのだ。

そして、レースはと言うと・・・
イブンベイとホークスターが互いに意識したスタートの為かやや出遅れ気味のスタートとなり、サンデーサイレンスが先手を取った。
これは誰もが予想外の展開だった。

出遅れ気味のイブンベイもホークスターも無理には追わないで先行集団につけ、その後ろにクリミナルタイプが位置する。
そして2番手には勝負を賭けたロジータが陣取っていたのだ。
ペースは速くない。
狂乱ペースを作り出す2頭が大人しくしたからか、比較的落ち着いたペースでレースが始まったのだ。

エイミーとしては予定外だが、想定内であった。
サンデーはご機嫌そのもの。
これなら自分のペースでレースが出来る。

馬群の中で揉まれたりするとサンデーサイレンスは機嫌を損ねてしまい道中はエイミーは格闘せざるを得なくなってしまう。
今回は想定外の展開ではあったがその必要がなくなりエイミーも気楽にレースを運べることとなる。

サウジカップに比べてペースは緩くなる。
それでも自分のリズムで走れるのがサンデーには一番なのだ。

ロジータがそれをマークする。
2頭の差は道中ほとんど変わらない。

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