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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 344

ノースウィンドもGTこそ制してはいないがアメリカ3歳ダート路線では強い相手に健闘してきたし重賞も勝ってきている。
そしてサウジで遠征初勝利。
お互い初のタイトルに向けたレースだ。
片や今回で引退、一方で伸び盛りの素材、脚質も対照的なのがより対決姿勢が明確でいいと祐志は考えていた。

ゲートは各馬すんなり入って、いざスタート。
抜群のスタートを切るインディアンリッジ、ノースウィンドも普通にゲートを出た。

抜群のスタートからインディアンリッジが先頭に躍り出る。
初ダートの戸惑いも無く、何時もの爆発的なスタートダッシュで先頭に立つとグングンと他馬を引き離していく。
これには短距離のこう言うレースに慣れているアメリカ勢も戸惑うぐらいのスタートダッシュ。
無論ヨーロッパでもインディアンリッジはかなり異質な存在だった。

(なる程ねぇ・・・これは手強いかも)

クロエの想像よりインディアンリッジのダートの脚抜けが良いが、想定の範囲内ではある。
重いヨーロッパの芝で慣れているからパワー主導型ではあるが、軽いダートを走れるだけのスピードも持ち合わせている。
これは中々に厄介よねと呟くクロエだが、表情には余裕がある。

レースはインディアンリッジが先頭。
アメリカの有力馬は前目で追走。
ノースウインドは中団だが、これは意図したと言うより地元の馬のペースが遅いだけだった。
ノースウインドとしては丁度良いペースで走っているから、位置的な問題は無い。

インディアンリッジの作り出すペースは若干速めだが、サウジの時とさほど変わらないくらい。
前走のペースでも先行勢はそこそこ粘っていた。

勝負どころでクロエはノースウィンドを外目に持ち出していく。
果敢にインディアンリッジに挑んだ地元馬が後退するのをうまく避けながら、内にいたブラックタイアフェアーと並走する。

今回、ブラックタイアフェアーにはエイミーが騎乗している。
これはサウジカップでのエイミーの騎乗を見たブラックタイアフェアー陣営が依頼したからであった。

エイミーが乗るこの芦毛馬は、パッとした成績ではない。
マイルスプリント路線でそれなりの成績は出しているが、同じ年代で同じ路線のノースウインドより実績も評価も下だ。
だが、乗って感じる潜在能力はG 1取れてもおかしくない器だった。
ただ気性が子供過ぎる・・・
すぐにイライラしたりレースに飽きてしまったりと、真面目に走っていない印象だった。
そしてスピードは一級品だが、本質的にマイルより長い距離が合っているかもしれない。
これで気性が落ち着いてくると、もう少し長い距離で活躍できるかもしれない。

今回は割と落ち着いてレースが出来ている。
いい位置でここまで来れたし余力もある。
エイミーは外から上がってくるノースウインドを横目で見ながら、ブラックタイアフェアーを前にと進出させたのだ。

それをチラリと見遣るクロエ。
自分の騎乗スタイルもノースウィンドの戦法も知り尽くしている姉だが、それでも今回は負けられない、負けたくない思いがあった。

外から動いていくブラックタイアフェアー。
しかしこちらはまだ動くタイミングではない。
まだじっと待つ段階なのだ。

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