PiPi's World 投稿小説

駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 336
 338
の最後へ

駆ける馬 338

勝利の咆哮とばかりにエキサイトしながらウイニングランに向かうサンデーサイレンスとエイミーを見ながら、クロエはクリミナルタイプと共に引き上げていく。

「…やっぱり姉さんには勝てないのかな」

姉の背中を見届けセンチメンタルな気分になるクロエを、クリミナルタイプが慰めるように振り向く。

「ありがと。頑張ったもんね」

クロエは相棒のタテガミを優しく撫でた。

そんな姉妹の戦いを樹里はスタンドから見守っていたのだが、今回は娘ではない同行者がいた。
競馬学校入学を目前に控える亜紀だった。

彼女の肉欲は樹里が思っているより遥かに強かった。
男との行為こそ絶っているものの、毎日日課のようにしているオナニーの激しさに樹里が引いてしまうぐらいだった、
それだけでなく、本人が気を抜けば無意識に胸や股間を弄ってしまうのが癖になっている様子だった。

そんな状態だからこそ、世界トップレベルで戦う同性の騎手を見れば意識がちょっと変わるかもしれないと連れてきた訳だ。
幸い姉やラルフ達から英語も教わっていたので、ウイッチ厩舎の女性スタッフやエイミー達と話して憧れを強くしたようだった。
エイミーとクロエが壮絶なデットヒートをしたレースを亜紀は憧れの目で見ていたのだ。

「海外のトップホースの競馬を見て、何か感じるものが…あったみたいね」
「はい!私もいつかここで乗って勝てたら…」

そう言って瞳をキラキラさせる姿は純粋な普通の女の子である。
これがベッドの上だと途端に変貌してしまうのが怖いところよねと樹里は思ってしまうのだ…自分の場合も同じなのだが。

「でもサンデーサイレンス、あの馬は何か他とは違いますよね」
「あの馬は猛獣よ」

あの荒れ狂う暴君を思い出しながら、樹里は実物を見るのもいいかしらとセレモニーを終えた後に亜紀を馬房に向かわせたのだ。

「へぇ・・・騎手を目指すのね」
「はい、今年から競馬学校に行きます」

そう言ったのは、ウィッチ家の末娘クロエだった。
姉やラルフ達のお陰で英語も何とか話せる亜紀は拙いながらもそう答える。

「へぇ・・・日本にはそんな学校があるのね」

イギリスや日本には競馬学校と言う専門校があるが、アメリカには存在しない。
16歳以上で馬に乗る技術があればなれる。
ただある程度のレベルでないと騎乗依頼はされないので、幼少から馬に関わる環境でないと中々難しい。
そう言う意味では日本の方が環境に左右されず騎手になりやすいかも知れない。

そんな話をしながら競馬場内の厩舎に行く。
サンデーサイレンスは馬房横の洗い場でエイミーに洗われてややご機嫌な様子だった。

ナイター開催の照明に照らされた黒鹿毛の馬体は非常に映えて美しいと感じたが、間近で見るとその馬体の雄大さがさらによくわかる。

「あら、お客さんね」
「えっと…」
「初めてのお客さんはあまり近づかないでね?」

そう言うエイミーだが、サンデーサイレンスは亜紀の方を向きつつもいつものように相手を威嚇するような素振りは見せない。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す