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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 336

GTというグレードを与えられて、まだ歴史は浅いレース。
しかし優勝賞金は世界最高額とあって欧米から強豪が参戦する一大レースとなった。

サンデーサイレンス最大のライバルであるイージーゴアはここに見向きもせず、国内レースに専念。
この話を聞いたクリスは「どこまでも対照的でいいじゃない」と笑った。

サンデーサイレンスとともにアメリカから遠征してきたのはクリミナルタイプ、ホークスター、クワイエットアメリカン、ライブリーワンなど。
ここにアルゼンチン生まれの女傑バヤコアが加わる。

欧州組ではイブンベイとクリエイター。

実績で堂々の一番人気のサンデーサイレンスだが、今回はイブンベイとホークスターと言う狂乱のジャパンカップの立役者2頭がいる事が気がかりではあった。
当然樹里からジャパンカップの様子も聞いているエイミーにはその事も頭には入っているが、彼女にとって一番の懸念は暴君のご機嫌である。

その暴君はここに来てからご機嫌ではあった。
神経質でこだわりの強い馬ではあるが、遠征は苦手ではない。
機嫌さえ損ねなければ走るのは間違い無い。

そして問題の馬場はエイミーの感覚的に芝とダートの中間・・・
ダート専門であるノースウインドはやや深くアメリカのダートに近い大外を選んだが、サンデーサイレンスは芝にも適応できると考えていた。
ホークスターやイブンベイと言う芝の強豪が来ているが、彼らの適応力を舐めている訳ではないにしろ楽観はしている。

そんなレースは、やはりイブンベイが真っ先に飛び出す。
ホークスターはジャパンカップを警戒なのか、そこまで先頭を争わず2番手。
その後ろがサンデーサイレンスとクリミナルタイプだった。

ジャパンカップでは大暴走とも言える超絶ハイペースを作り上げてしまったイブンベイだが、今回はそこまで狂ったような逃げにはなってはいない。
それでも平均よりはやや速めだ。

サンデーサイレンスは少し離れた3番手集団を追走。
エイミーも折り合いにはそれほど苦心せずに追えている。

バックストレッチではそこまでの動きは見られず、馬順入れ替わることなく淡々と進んでいくレース。
サンデーサイレンスの外側にはクリエイターとバヤコアが並びかけてくる。

そしてコーナーに入ると、隣のクリミナルタイプが先に動く。
この馬はヨーロッパデビューでアメリカに移籍。
実績こそ無いが、ここに来て成長著しい馬だ。
しかも、今回は遠征とあって騎手はクロエが務めている。
サンデーサイレンスの事を良く知るクロエと言うのも少し厄介である。
恐らくサンデーより先に仕掛けてアドバンテージを取る戦術だろう。
実績は無くとも実力はそれができるだけついている。

多分、騎手が逆でも仕掛けは同じになるとエイミーは思っていた。
姉妹だけにこちらの手の内がバレる代わりに、向こうの手の内も理解できたりする。
ただクリミナルタイプがここで動くのは理解できても、サンデーサイレンスが動くのはまだだ。
コーナーで少し我慢。
クリエイターやバヤコアに被せられるように並ばれてサンデーがイラっとした感じが伝わってくるが、イライラしながらもエイミーの指示が無いから我慢している。
毎回思うが賢い馬だ。

その賢さがいずれ生きてくる。
エイミーはコーナーで動かず、じっと待つ。

前方のイブンベイとホークスターが並ぶ。
自ずとペースが上がり、サンデーのさらに後ろにいたライブリーワンやクワイエットアメリカンも先んじて動いていこうとする。
それでもまだエイミーはゴーサインは出さない。
直線までは我慢を続ける。

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