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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 335

アメリカからの参戦馬も混戦模様だが、更にレースを難しくしているのは欧州最強スプリンターの一角ガトゥージェネルーがターフスプリントではなくこちらに登録してきた事だ。
更にディンヒルとウォーニングと言う強力なスプリンターもこちらに参戦。
と言うのも、ターフスプリントの方にはインディアンリッジとソヴィエトスターと言う欧州最強格が揃い踏みした事で有利馬が散った訳だ。

これだけ欧州の有力馬が集まったのは、G 3とは言え超高額賞金があるから・・・
サウジとドバイは欧州の馬主にとって比較的近いドル箱と言えるからだった。

そんかレースにあってノースウインドは人気薄。
実績からすればそうなるだろう。
乗るクロエからすれば舐めんなと言いたいのだが、やはり実績では見劣るのは自覚している。

返す返すもマリブステークスは悔いが残った。
不利を受けての3着であったが、あの不利はコースをちゃんと選んでいたら避けれたと思っていた。
それだけに今回はやり返したい。

短距離戦はスタートとスピードが肝心。
たまにゲートで出遅れてしまうノースウィンドにクロエは細心の注意を払いながら枠入りさせる。

スタート。
ノースウィンドとしては最高のスタートが切れた、とクロエは思った。
馬群の後方、しかししっかりとついていける。
ここからが大事だ。

先行争いはスピード自慢が集まったこともあって激化する。

その中で先行争いになったのはアメリカ最優秀スプリンターのセイフリーケプトとヨーロッパスプリント界のトップ、ガトゥージェネルーだった。
どちらも屈指のスピード自慢。
好スタートからセイフリーケプトがまず仕掛けるとガトゥージェネルーが差無く追随する。

そこにセイフリーケプトと共にアメリカスプリント界を引っ張るダンシングスプリーが続き、ディンヒル、ウォーニングのヨーロッパ勢も追随する。
後方にはノースウインドと同世代のブラックタイアフェアー、そして最後方にノースウインドと行った順位で序盤は進んだ。

とは言え電撃戦。
後方で悠長に過ごしている暇は無い。
スタートした直後にあるコーナーから後方の馬も前にと仕掛けていく。
ノースウインドも同じく順位を上げてコーナーを回っていく。

当然外を回っていく事になるのだが、クロエはロスを承知で更に外に持ち出す。
これは馬場の性質を考慮した判断で、走って荒らされた内側より荒らされていない外側の方が伸びると見たからだった。

短距離戦で、ペース自体もかなり速い。
そのため後方から運ぶノースウィンドにもお鉢が回ってきそうな展開だが、前を行くのは世界クラスのスピード馬なので当然、なかなか止まらない。

それでも外を選んだクロエの判断は正解で、ノースウィンドは徐々に前との差を詰めていく。
相棒を激励するように、クロエを必死に鞭をふるう。
セイフリーケプト、カドゥージェネルーの先行2頭にダンシングスプリーがまず並びかけ、さらにその背後を追走していた先行勢も接近し、直線は数頭が横並びになる激戦が繰り広げられる。

セイフリーケプト、ガトゥージェネルーも粘るが、一頭だけ違う脚で追い上げてくる馬がいた。
ノースウインドだ。

本来は短距離で圧倒的に不利とされる追い込み脚質。
この脚質故に届かないで惜敗と言うパターン続きだが、クロエはこの馬の瞬発力が非凡だと思っている。
そして今回選んだ大外・・・
内側よりダートの足抜けが良く、思った以上に加速していた。
故にこれがバッチリと戦術にハマったのだ。

凄まじい勢いのまま先頭に迫るノースウインド。
ゴール直前で先頭を交わす。
G 3ながら並のG 1以上の賞金とメンバーの中での勝利・・・
これは大きな勝利であった。

控えめなアクションで勝利を喜びながら帰ったクロエは、次走を待つエイミーとハイタッチ。
次が本番・・・
本命サンデーサイレンスで挑むサウジカップである。

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