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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 324



そして、ジャパンカップ。
3強が海外の強豪に戦いを挑む構図の今回のジャパンカップ。
ヨーロッパ勢は凱旋門賞馬キャロルハウスが参戦。
それだけでなく、アサティス、イブンベイと言ったG1ホースも参戦してきた。
アメリカ勢は世界レコード持ちのアメリカ芝最強馬の一角ホークスター、前年ジャパンカップ覇者のペイザバトラーが参戦してきていた。

迎え撃つ日本勢は3強を筆頭にフレッシュボイス、ランニングフリーと重賞常連の古豪に、オグリキャップと共に連闘での参戦のバンブーメモリー。
更には南関東三冠馬にして地方競馬最強の女傑ロジータ。
豪華な15頭のメンバーでのレースとなった。

1番人気は天皇賞の激走と距離適性からスーパークリーク。
オグリキャップは2番人気に甘んじ、3番人気はホークスターとなっていた。

好調を維持するクリーク、そして充実そのものの悠。
だが皮肉な事にレースは思いがけない展開となったのである。


体験した事が無い大声援にイブンベイがパニックに陥ってしまったのだ、

スタートからパニックとなったイブンベイがゲートが開くと同時に猛然とダッシュ。
無論、誰もがイブンベイが逃げる事を想定していた為に、ここまでは想定内であった。
そのイブンベイに対し、ホークスターのベイザーが競った辺りで様子が変わった。
パニックを起こしたイブンベイが恐怖の余り暴走し始めたのだ。

それは狂気の暴走だった。
暴走するイブンベイがまるで短距離戦のような速度で駆け、ホークスターが食い下がる。
余りのハイペースに馬群は一気に縦長となっていったのだ。
3番手にニュージーランドから参戦したホーリックス。
4番手にオグリキャップとスーパークリーク。
イナリワンは最後方集団にいた。

悠にとっては予想外の展開。
この狂乱ペースは不味いが、かと言ってオグリキャップが隣にいる以上下げる事はできない。
そのオグリキャップも苦しい展開だろうが、南は驚異的な粘りに賭けるつもりのようだ。
あちらもクリークが隣にいる以上、決して下げる選択は無いだろう。

イブンベイが先頭で3コーナーを通過。
少し離れてホークスター、さらにホーリックス。
オグリキャップが4番手、その後ろにスーパークリーク。

狂ったようなハイペースに後続勢の方が先に音を上げ始め、その直後にいたキャロルハウスが後退、ロジータに至ってはついて行けず大きく離れた最後方。

4コーナーを回る。
イブンベイもさすがに力尽き、ホークスターも苦しくなる。
代わって先頭に躍り出るのはホーリックス。

ニュージーランド国内ではコンスタントな成績を残すG1馬であるホーリックス。
だが、この芦毛の6歳牝馬を本命視するものはいなかった。
そのダークホースが直線入り口を先頭で駆け抜ける。

ホーリックス鞍上のディ・サリバンはニヤつきが止まらなかった。
父であるディ・サリバン調教師と共に鍛え上げてきたホーリックスは、この狂乱のハイペースに息を上げていない。
もう日本だけでなく本国でも先細りとなっているフェアウェイ系。
その生粋のステイヤー血統から受け継いだ無尽蔵のスタミナは、このハイペースに耐え切る力を与えていた。
更に言えば府中の高速芝コースは、ニュージーランドのタフな芝より遥かに走り易い。
故に極限までスタミナを削り合うこの戦いで、想像以上にアドバンテージを獲れたのだ。

そのディ・サリバンが気合を入れて追うと、ホーリックスは力強く駆ける。
ここまでのタフな戦いが嘘であるかのような力強い走りだった。
それに食らいつこうとしていたホークスターにも差をつけていく。

直線半ば、2馬身、3馬身とリードを広げていくホーリックス。
しぶとく食らいついていたホークスターが後退し、そのリードは数字以上に開いているように見えた。

それに代わって追いかけていたのはスーパークリークだが、道中の追走に力を使ったゆえか、いつもの伸びがない。
その外にはオグリキャップ。

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