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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 321

今日も馬体重はプラマイゼロ。
「連闘でジャパンカップに行く」という怪情報も飛び交う中、馬はいたって元気いっぱいであった。


レースは2番枠のミリオンセンプーが好スタートからハナを切る。
トウショウマリオ、グレートモンテ、ホリノライデンらが2番手集団を形成し、オグリキャップはその直後の追走。
バンブーメモリーは中団からやや前あたりのポジション。

3番人気のホクトヘリオスは後ろから数えたほうが早い位置につけているが、オータムリーヴスも今回は思い切った後方待機策をとっていた。

1000mのラップタイムが58秒後半とマイルらしいペース。
そんな中、馬群がコーナーに差し掛かった辺りでオグリキャップに問題が出た。

最内枠のオグリキャップだったが、3コーナー辺りから前への進出を狙ったものの、南が手こずりなかなか前にいけない。
その隙に他馬に囲まれ、外に出す隙間を失ってしまったのだ。

それを見逃す悠ではない。
天皇賞でスーパークリークと共にオグリキャップを破り弱点を把握した悠は、外側をブロックするようにバンブーメモリーを進出させる。
それによりオグリキャップは行き場を失い、バンブーメモリーは好位置で直線に向かう事ができたのだ。

バンブーメモリーも爆発的な末脚を持つ馬だが、オグリキャップの瞬発力と比べて勝っているかと言えばそこまでもない。
むしろあの怪物の末脚はそれ以上なのは間違いない。
だからこそ先に抜け出せるこの状況は、天皇賞と同じく大チャンスなのだ。

オグリキャップが馬群の中でもたついている間に、バンブーメモリーは直線で先頭を捉える。

先頭を行くミリオンセンプーは後退。
代わってトウショウマリオが先頭に立ち、グレートモンテ、シヨノロマンらの先頭集団。
それを並ぶ間もなく一気に交わしていくバンブーメモリー。

一気に2,3馬身後続を突き放していく。

後続、馬場の外を回りながらホクトヘリオス、さらにオータムリーヴスも伸びを見せるがまだまだ差がある。
このままいくか、と思わせたところ。

馬場の内側の芦毛の馬体がすさまじい勢いで先頭のバンブーメモリーに迫っていた。

弾けるように跳ぶ芦毛の馬体が見る間にバンブーメモリーに襲いかかっていく。
そして・・・

ゴール寸前で交わし切るオグリキャップ。
まさに鬼脚と呼ぶような凄まじい追い込みで勝利をもぎ取ったのだ。


そんなレースをスタンドから澪が見守っていた。
伸ばした髪と丸みを帯びた体型。
淡い色合いのワンピースに包まれたお腹はやや膨らんでいる。
栗東に近い京都だからこそ観戦に来た澪だったが、その佇まいは騎手相沢澪ではなく、若奥様の舘澪であった。

「うん、普通にショックよね・・・あの負け方」

澪があのオグリキャップに乗っていたら大喜びする内容だし、逆にバンブーメモリーの立場ならショックしかない。
精神的にタフな悠だが、流石にこれはショック受けるだろう。
きっとそのショックや怒りのままに激しい夜になるだろうと思い、お腹がキュッとして下腹部が潤む。

「後でパパにお疲れさまってしようね」

そう言いながらお腹をソッと撫でる。
只の勘だが、この子は女の子のような気がしていた。


一方、勝ったオグリキャップ陣営。
鞍上の南は、勝利騎手インタビューで「前走(天皇賞・秋)で負けたのは自分の判断ミス。ここで負けたら次はないと思っていた。オグリに救われました」と男泣きした。

一方でレース後には衝撃の発表もなされた。
一部で噂のあったジャパンカップへの連闘での出走が正式に決まったのだ。

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