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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 318

そんな麗奈の姿が可愛らしく見えてしまう樹里。

「お互いに素晴らしいレースだったと思うわ」
「はい……競馬って面白いですよね」

麗奈自身はこれまでは単なる祐志や自分の父などの付き添いでやって来ているだけで、そこまで競馬にのめり込んでいるわけではなかった。
それが変わっていったきっかけはオグリキャップの存在であり、樹里の存在…あの一件も含めてである。

「お姉様、さっきまで泣いてましたね?」
「そ、そんなわけっ」

お互い笑い合いながらの会話だ。
そう言う冗談を言い合える間柄にはなった。


それもその筈である。
祝勝会が終わった後のホテルで全裸で抱き合う2人。
熱烈に何度も互いの唇を吸い合う。
樹里は祐志の抱いた女とこう言う行為に何度も及んでいるし、涼風ファームの女達ともそうだ。
何となくだが、同じ男に抱かれた者同士で親近感を感じてしまう事が多い。
なので麗奈に対しても元からそこまで悪感情は抱いてはいなかった。

「あの人が・・・お姉様が益々いい女になってるってよく言うんですよ」
「まあ!・・・相変わらずね」

口を尖らせてそう言う麗奈。
自分の女の前で他の女の話をする祐志の性格は厭らしいが、わざと言っているのだろうなと察せない樹里ではない。
小柄で可愛らしく、それでいて生意気で我儘な所がある麗奈の事を祐志が気に入ってるからこその意地悪なのだろう。
奈帆も割とズケズケとモノを言うタイプだし、彼はそんなタイプを屈服させるのが好きなのだろう。
男に従順なだけの昔の樹里は、よくつまらない女と言われたりしたものだ。

ただし祐志によれば樹里は知れば知るほど自分にとっていい女だ、自分の好みの女だと感じるようになったという。
当初は樹里の身体と実家の財力目当てで接近したらしいが、祐志は祐志で樹里の虜になっていた。
もちろん祐志と知り合った当時まだ大学生で祐志が初めての男だった樹里はそれ以上に彼にハマってしまったわけだが。

「以前はお姉様に嫉妬ばかりしてしまっていたんですけど…」
「それは私も同じよ」
「似たもの同士だったんですね」
「あの男に抱かれたら誰だってそうなるんじゃない?」

そう言って笑い合う2人。

その後、2人は熱い夜を過ごしたのだ。


そして次の週には、アメリカ競馬最大の祭典・・・
ブリーダーズカップデイがやってきた。
そのメインレースではサンデーサイレンスが出走する。

ベルモントステークスの敗戦後、次の調整レースでも敗北。
故に夏の大レースを回避し、秋に備えた一戦はマイナーなレースで勝ってここに来ている。
だが、そんなサンデーサイレンスの前に現れたライバル、イージーゴア・・・

ベルモントステークスを勝つとホイットニーハンデで古馬を撃破。
夏の3歳ビッグレース、トラヴァーズステークスでは同世代を圧倒。
ウッドワードステークス、ジョッキークラブゴールドカップの古馬王道路線ですら圧倒的パフォーマンスで勝利。
G1を5連勝してここに至っている。

充実度では明らかに黄金の貴公子が漆黒の暴君を上回っていた。
堂々の一番人気も誰もが納得する実績であったのだ。

対するサンデーサイレンスは、いつも以上の暴れよう。
だが、ウィッチ厩舎のスタッフ達は落ち着いていた。
この荒れ方は、彼が本気になるべき時が来たと察しているからだと知っているからだ。

出走頭数は8頭。
フランスから転厩してアメリカでもGTを制したブラッシングジョンやGTを複数勝利している古豪クリプトクリアランスという実力馬もいるが、大方の予想は3歳のトップホースの一騎打ちだった。

スタートは無難に収まる。
サンデーサイレンスはエイミーが落ち着かせながら逃げ馬のすぐ後ろのポジションを確保しようとする。
イージーゴアは8頭の中では後方のグループ。

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