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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 316

「このレベルで勝つにはまだ力が足りないということか」
「そうね。彼の課題ははっきりしているから、そこを何とかしないといけない」

レース後、祐志とクリスはそんなやりとりをする。
クリスも敗れたとはいえ非常に前向きだった。


日本では3歳最後の一冠をかけたGTレース。
秋華賞は最低人気のサンドピアリスが差し切り、2着以下も人気薄の大波乱。
ガステリア不在の菊花賞は夏から急に勢いをつけてきた上がり馬のバンブービギンが勝利。

そして秋初戦のプラニフォリアは府中牝馬ステークスを5馬身圧勝。
いよいよ次回はエリザベス女王杯でのラストランを残すのみとなった。

そして10月最終週。
土曜日のアルテミスステークスに関東遠征でディザイアが松中を背に強さを見せつけて勝利。
阪神ジュベナイルフィリーズに向けて好発進していた。

日曜の関西ではスワンステークスが行われる。
オータムリーヴスには乗り替わりでサンドピアリスで大波乱の立役者となった岸田が騎乗。
最終直線で先頭に立つものの、ゴール寸前で松中昌彦の騎乗するバンブーメモリーに差され2着。
癇性のきつくなったオータムリーヴスを上手く導いた岸田の腕には寛子も納得できるものだった。
次戦のマイルチャンピオンシップに悠がバンブーメモリーに騎乗予定である事から、次戦も岸田に以来する事が決まった。

その後には府中で秋の天皇賞。
この日、初めて3頭の怪物が直接対決する。

オグリキャップ、スーパークリーク、そしてイナリワン。
前哨戦を勝った馬、負けて強しの内容だった馬、そこからいずれも中2週というローテになるが、皆順調に調整してきた。

3頭とも前走から鞍上も変わらず。
人気も当然三つ巴の争い…かと思いきや、ここでも毎日王冠3着のメジロアルダンが割り込んでくる。
岡江も「能力では引けを取らない」と大きな期待を寄せる。

4頭が人気では抜けており、5番人気のミスターシクレノンはかなり離れたオッズとなっていた。

枠順はオグリキャップが内枠、イナリワンが中央、そしてスーパークリークが外枠と、それぞれの陣営が余り引きたく無い所に行ってしまった。
内側で包まれたくないオグリキャップは真ん中辺りが良かったし、馬混みを避けたいイナリワンは外枠が希望だった。
スーパークリークも内枠から良い位置につけれたら理想と言う感じで、ある意味面白いレースになると言える並びとなった。

そんなレースはレジェンドテイオーが予想通り先頭で引っ張る。
メジロアルダンがその後ろ。
外枠ながら抜群のスタートを切れたスーパークリークが4番手。
外枠ながら良い位置につけれたのは悠の絶妙な判断あっての事だった。

オグリキャップは中団7番手。
毎日王冠の内容から南は少し前の位置を選択していた。
そしてイナリワンは後方待機。
毎日王冠で見せた末脚なら届くと自信を深めた柴原の選択は最後の瞬発力勝負だった。

レジェンドテイオーの作り出すペースはさほど速くない。
スーパークリークと悠にとって理想的な流れになりつつあった。
特にスタートからスムーズに先行できた事が大きい。

大欅の向こう側を通過すると、逃げるレジェンドテイオーと2番手以降の集団の差が詰まってくる。
スーパークリークは2番手を行くウインドミルの外に早くも迫ってきていた。
その後ろにオグリキャップ。
メジロアルダン、ヤエノムテキとともに好位集団も迫り、馬群は一気に凝縮される。
それを見てイナリワンが後方から動きを開始する。

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