PiPi's World 投稿小説

駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 313
 315
の最後へ

駆ける馬 315

梓を見るノースウィンドの瞳は、可愛らしく澄んだものだった。
むしろこれからレースと言う雰囲気を感じさせないぐらいで、この馬本来のおっとりとした性格が滲み出ていた。

それだけに梓はウィッチ厩舎の馬房で見たサンデーサイレンスの目付きの異様さが思い出されてしまう。
初めて見たサンデーサイレンスの馬房には近付く事すら許されなかった。
梓も競走馬に人参とか与えた事もあったが、サンデーサイレンスは馬房に居ても近付く事すら禁止。
梓に対しても血走った目で低く唸り声を上げて威嚇してくるぐらいだった。
その瞳の狂おしさに身震いする程だった梓・・・
父に抱きしめて貰わねば直視すらできなかったかもしれない。

「ふふ・・・ママの事は気に入った見たいだなアイツは」

どこか楽しそうに言う祐志。
母に対しても首を大きく振りながら威嚇してるように見える。

「あれはメスとしてママを気に入ったと言う事だ・・・オスとしてメスを値踏みする目だ」

そう言った祐志の声に梓はサンデーサイレンスのある事に気付く。
馬房の暗闇、馬体の下腹部で大きくなる陰茎が見えてしまったのだ。

オスとしての象徴。
それは人間にも存在するモノではあるが、梓の目にはサンデーサイレンスのそれは祐志のよりも(当然かもしれないが)はるかに大きく太く、恐ろしいものだと感じた。

「気になるか?梓」

祐志が優しい口調で問いかける。
梓はそれに返す言葉がなかった。
どう返事すれば良いのかわからなかったのだ。

だが、何故か目が離せない。
気にはなるのだ。

「あれだけのオスなら気になって当然だ」

どこか楽しそうに言う祐志。
そんな父に抱きしめられているからか安心感が強い。
何より最近よく父に会えるのが梓にとって嬉しいのも余計安心感が増している感があった。

あの父と母のセックスを見た人から父から梓は言われていた。
ママがエッチでいるなら帰ってくると。
梓としても樹里としても祐志との時間が増えるのは良い事しかないのだが、その代償として娘の前でほぼ毎日自慰を見せると言う性教育をすると言うのは納得できない樹里だった。
あえてそうさせている祐志に怒りはあるが、樹里が嫌いになれないのを分かってやっているのも腹が立つ。
なので馬が樹里に欲情しているのもエッチなママなら当然かもしれないと梓も思ってしまったりする。

そんなサンデーサイレンスと違い穏やかなノースウィンド。
ノースウィンドの方が梓の知る馬らしさがあって安心する。
だが祐志が言うには、サンデーサイレンスと比べると能力に劣るらしく、このレースでもそう簡単にはいかないと言う事らしい。

前走で重賞勝利を収めたノースウィンド。
ここはレースの格も上がるしメンバーもレベルが一段階上がると祐志は見ているし、実際クリスたちの見方もそうだ。

「まあ、全く通用しないわけじゃないけどな」

周回ではおとなしかったノースウィンドも、クロエがまたがると少し気合いが入る。
そのまま馬場に駆け出していく。

レースはスタートダッシュのきかないノースウィンドは後ろからの競馬。
短距離適性が高いと思われるノースウィンドだが、その中で欠点と言われるのがこのスタートダッシュ。
先手を取るのが有利な短距離にあって、先手を取るのが苦手なのは大きな欠点だった。

ただ、それを補えるスピードと瞬発力を持っているから前回重賞制覇できた訳だが、今回はローカルG1とは言えメンバーが前回より上がっている。
前回より厳しいレースを予想していたクロエからしても少し苦しさを感じていた。

レースは前半からハイペースで逃げ馬が飛ばし、それを各馬が追走していく。
最後方のノースウィンドですら早いペースだと思うぐらいだが、アメリカの短距離戦ではありがちなハイペースだ。
それでいて先行勢が残るのだから、いかに先手を取っていくのかが重要だった。

最終コーナーで少し離された最後方を走るノースウィンド。
そこからエンジンを回すが、前が中々止まらない。
それでも凄まじい末脚で次々と追い抜いていくものの、捉え切れず3着。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す