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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 309

短い直線は先行有利ではあるが、札幌の馬場は他よりもパワーを要する舞台。
ディザイアも含めてほとんどの出走馬が初経験の距離で道中も手探りだったが、ペースはある程度流れていた。

追い出すと若干外にヨレるところはあったが、前走同様いい瞬発力を発揮して先行勢を交わしていく。

やはり前走同様素晴らしい切れ味で交わして先頭に立つ。
そして1馬身差をつけゴール。
内容は完勝そのものであった。

松中もこの勝利に身震いした。
関西は若手をどんどんと使っていく風潮とは言え、ここまでの馬を任される事は中々無い。
彼にとって初めての、それも大レースを取れるかもしれない馬との巡り合わせに身震いしたのだ。

寛子にしてはここで勝つのは順当。
初年度のミスターシービー産駒の中でも、この馬が最もよく似ていると入厩時から思っていた。
その父を彷彿とさせる瞬発力を2戦続けて見せた事で、自分の中で確信に変わっていた。


そして次の日は小倉。
小倉2歳ステークスにアクアパッツァが出走する。
こちらは入厩時から調教でも乗っている悠が担当する。

前走のダートから今回は芝のレース。
ダートに強いブレイヴェストローマン産駒だが、芝への適応力もあると見ていた。
スピードに関しては今年の2歳でトップクラスと悠は思っているし、ここでも勝てる自信も持っていた。

12頭立てで、アクアパッツァは単勝5番人気。
デビュー戦勝ちと調教の動きの良さから結構な高評価は得ていたが、ダートと芝の違いを気にされてか人気的には伏兵どまりという評価。

人気に推されたのはイクノディクタス。
名前通りディクタス産駒の牝馬で、新馬、フェニックス賞と連勝。
フェニックス賞では2着に0.7秒差をつけ2歳レコードも更新するほどの強さを見せていた。

恐らくクラシック戦線では強力なライバルとなる馬である事には違いは無い。
イクノディクタス陣営もこちらの事を相当気にしている様子はあった。

そのイクノディクタス以外にもハギノハイタッチやトシグリーンと言った仕上がりの良い牡馬勢もいる。
牡馬牝馬関わらず、まだ出来上がっていないこの時期の2歳馬は、現状の出来が勝敗を左右しやすい傾向にある。

夏の終わりとは言え、まだまだ真夏と変わらない暑さ。
馬も汗をかき馬体に白い筋が浮かび上がる。
こんな暑さとなると熱中症となる馬も現れるし、スタミナの消耗も何時もより激しい。
幸いと言うか、アクアパッツァは暑さに強い方らしく、パドックでも平然と周回している。
逆にイクノディクタスはそこまで暑さに強くないのか性格的なものか、少しイライラしているように首を大きく振っていた。
それはディクタス産駒らしい気性と言えるが、それを補って余りあるポテンシャルを前回の2走で見せている。
アクアパッツァと悠にとって強敵である事には変わりは無い。

天気は快晴で間夏らしい日差しが照り付け気温も上昇しているが、馬場の方は前日の雨がやや影響が残っていた。
返し馬でその馬場の状態も確認しながらアクアパッツァをエスコートする悠。
開催も最終週なので馬場は荒れ気味でもある。

レースのスタートは綺麗に揃う。
ハギノハイタッチが好スタートから先手を奪い、イクノディクタスやトシグリーンの人気上位馬も好発から先行ポジションにとりつく。
アクアパッツァは先行集団のすぐ後ろ。

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