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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 303

直線に向いて悠が手綱を一度グッと動かすと、アクアパッツァはさらにギアを一段階入れ、後続を突き放すべく加速する。
ついて来れる馬はおらず、その差が2馬身、3馬身と広がっていく。
これならステッキを使う必要はない。
残り100、50mを過ぎたところで手綱を持ったままにして流すようにゴール。
デビュー戦を快勝で決めた。

寛子に代わり小倉遠征を担当した優菜が悠を迎える。

「いい勝ち方だったわね、悠くん」
「ええ、殆ど追わずにこれだけの競馬ができたのは収穫ですね」

爽やかな笑顔で返す悠。
その笑顔に蕩けてしまったような顔になる優菜。

「いい勝ち方できたから・・・今晩が楽しみですね、優菜さん」

小声でそう言う悠。
その言葉で優菜は子宮の辺りがキュンと疼き、股間がじんわりと湿ってくるのが分かる。
既に彼女も心身共に悠の虜になっているし、今晩はきっと激しいだろうと想像できた。
どうにか平静を装う優菜だが、アクアパッツァを曳く動作は多少ぎこちなくなってしまったのだった。

ここを快勝したアクアパッツァ。
電話で報告を受けた寛子は次走を小倉2歳ステークスに決定。
芝のレースだが、全く問題無く走れると見ていた。
優菜を労いつつ、ゆっくり帰っておいでと返す寛子。
勿論、ゆっくりと言っても観光する訳でなく、優菜が祐志に寝る間も無くハメられたのは言うまでも無い。


一方もう一頭の期待馬アキネバーの87の方も仕上がりは順調で、こちらは北海道開催でのデビューに向けて調整されていた。
札幌芝1500mの新馬戦である。

ディザイアの名前で登録され、デビュー戦の鞍上は牝馬との相性がいい河井に依頼しようと思っていた寛子だったが、あいにく都合が合わず。
代わりに白羽の矢を立てたのが期待の若手のひとり、松中幹也だった。

ディザイアは人懐っこく甘えん坊な性格である一方、我が儘で奔放と言う面も持ち合わせていた。
ラルフとジョンが馴致でかなり手を焼いた一頭で、随分と矯正されたものの、一般的に言うと煩い部類に入る。
お転婆な我儘娘と言った感じで、パドックでもチャカチャカと煩い様子を見せていた。

そして松中が跨ると更に煩い素振りを見せる。
だが、松中が軽く宥めると、少し収まりを見せたのだ。

「流石よね、いい男は違うわ」

寛子が感心したように言う。
若手では悠が天才だと持て囃されているが、アイドル並みのルックスと言われる松中人気も凄い。
ミッキーの相性で殆どのファンは最近増え始めた女性と言うアイドルさながらの様子である。
アイドル並みの容姿だけでなく、騎乗センスも素晴らしく、更にアイドルに似つかわしくない闘争心も持ち合わせてる事から関係者からの評価も高い若手有望株だった。
特に牝馬を宥めるのが上手いと定評で、寛子も馬もいい男が分かるのかしらと思うぐらいエスコート慣れしていた。

そんな松中のエスコートでパドックからスタート地点まで素直にキャンターするディザイア。
多少首の上下はするもののこれは厩舎でも見せるいつもの仕草。
入れ込み過ぎているという印象ではない。

芝1500mは札幌競馬場にしか無いコース。
形状的には中山の芝1600mに近いが、スタートから最後の直線、ゴールまで平坦で基本逃げ先行馬有利なコースだ。

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