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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 298

まずは競馬のことを一旦忘れてリフレッシュしたらいいと言う樹里の提案で観光地を巡る。
海外遠征の経験はある澪だが、その海外でもほとんど競馬漬けの日々を過ごしていたので新鮮な気分になれた。

樹里の娘2人も澪にすぐ懐いて、さながら3姉妹のような感じで楽しむことができた。

観光で楽しんだ翌日はサンデーサイレンスが滞在している厩舎を訪問する。

そこで澪は初めて聴いた。
野太く怒りに満ちた咆哮・・・
それが馬から発せられたとは思いもしなかった。
毎日のように馬と関わる澪ですら聴いた事が無い咆哮を馬が上げていたのである。

「これが・・・」

澪の前に居る漆黒の暴君。
澪を睨みつけるような眼は血走り、黒き瞳は世の中全てに怒りをぶつけているようだった。
何故これ程怒るのか・・・
いや、ここまで怒りと言う感情を露わにする馬なんて見た事が無かった。

「ホワイティが居ないから相当ご機嫌斜めなのよ」

クリスが言うホワイティはノースウィンドの愛称である。
天使のような人懐っこい芦毛馬は厩舎のアイドルだが、今回は帯同していない。
彼は彼で重賞で勝たせてやりたいと言う陣営の気持ちで別のレースに向けて調整中だからだ。
ただ、クリスからしてもここまでサンデーサイレンスがナーバスになるのは予想外だった。

澪を再び睨みつけて猛獣のような咆哮を上げるサンデーサイレンス。
サラブレッドとて本来は温厚な草食動物だが、今目の前にいるこの馬は肉を差し出したら本当に食べ始めるんじゃないかと思うくらいの獰猛さがあると澪は感じていた。

「あなたもジョッキーをやってるのよね?彼みたいな馬には会ったことないかしら」

「ここまでの仔は、いないですかね……」

澪が見た中で最強の馬・・・
シンボリルドルフも人を寄せ付けないような雰囲気があったが、それはどこか神々しさと言う感じでまさに皇帝と呼ばれるものだった。
逆にサンデーサイレンスはどこか生々しさがある。

そんなサンデーサイレンスは澪をじっと見る。
生々しく荒々しい瞳だ。
これが野生の肉食獣の眼だとしても不思議ではない印象だった。
そして、澪を見ながら前脚を大きく上げて立ち上がる。
股間のモノを大きくしながらだ。

「あら・・・アナタ、サンディに気にいられたみたいね」
「気に入った・・・のですか?これで」

シャロンとのやり取りで覚えた英語をなんとなく聞き取り返す澪にクリスが微笑む。

「そうよ、メスとして気に入ったから相手してやるって言う事ね」

まだ若駒の部類に入るサンデーサイレンスは、生来の生命力の強さからか凄まじく絶倫である。
こうやって馬っ気を出すのは日常茶飯事で、人間ですら俺のメスと思ってる節がある。
そもそもエイミーが主戦になっているのも、メスとして気に入られたのがある。

澪はサンデーサイレンスに自分がどんどん引き込まれていくのを全身で感じていた。
荒ぶる闘志、血走った瞳、その荒々しさの中に彼の競走馬としての類稀な力があるということ…

「初対面でこれだけ気に入られる人も珍しいと思うわ。アナタが身重じゃなかったら乗ってみないか勧めたかったわね」
「それはさすがに…」

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