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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 296

レースはマイネルムートが先手を奪い、トーワトリプルが2番手。
サクラホクトオーもそのすぐ後ろにつけて、ウィナーズサークルも先行集団の一角に位置する。

ガステリアはスタート自体はまずまずだったが、今日もこれまで通りの後方待機策を取った。

よく言われるのは、1コーナーまでに10番手以内に入らないと勝利が著しく下がる・・・
所謂ダービーポジションと言われるものがある。

ダービーは常に目一杯の登録があるレースであり、普通のレース以上に騎手の意気込みが大きい。
故にひしめき合うようにレースが進む為に、後ろの馬は内に入れれば逃げ場は無いし、外に出せば大きくロスする。
したがってダービーポジションは都市伝説という訳でなく、騎手の経験則から言われ出した言葉だ。

そんな経験則を無視するようにガステリアは後方から。
他の有力馬の殆どがダービーポジションに入る位置を取る中で異質とも言えた。
だが、澪は少し湿った馬場と長い直線が、この馬の豪脚を生かせる環境だと思っていたのだ。

1コーナー通過時で後ろから3番手の外側。
側から見ると余りにも後方過ぎるように見える。
それに少しどよめくスタンドを尻目に馬群は2コーナーからバックストレッチへと向かっていく。

スタート直後は若干競り合ったものの、道中はペースが完全に落ち着いた。
マイネルムートの逃げで、トーワトリプルが2番手。

向こう正面も中盤を過ぎると3番手以降が固まり始め、サクラホクトオーの外にスピークリーズンが並んでくる。
好位の馬群内めに位置するリアルバースデーがいい手ごたえで不気味に映る。

ロングシンホニー、ウィナーズサークルは中団の外め。
ドクタースパートが後方からゆっくり動き出し、それについていくのがタニノジュニアス。
ガステリアは一瞬だが最後方になる。

実況のアナウンサーからも『一頭遅れたガステリア、大丈夫か!』との声が出る程であったが、澪は冷静だった。
体調は狂ったりした澪だが、体内時計の狂いはまった無い。
故にガステリアを一定のラップタイムで走らせていた。
その結果こうなっただけで、ガステリアの方も気分良く走っているから問題は全く無かった。

そんな中で先頭集団は大欅を過ぎて更にペースアップしていく。
その4コーナーでもガステリアは最後方。
そして馬群は直線へと入っていく。

ダービーとなれば内側に馬群がひしめき合い、隙間すらない追い比べとなる。
そして今回は比較的内側が降雨でパワーを要するようになっている事から、内側に追いやられた馬はその影響をモロに受ける。
サクラホクトオーやドクタースパートはその影響で内側でもがいて伸びず、真ん中の比較的良い馬場につけれたウィナーズサークルやリアルバースデー、サーペンアップは力強く伸びてきた。

先頭を走っていたマイネルムートもパワーを要する馬場に失速していき、代わりにトーアトリプルが先頭に立つ。

トーワトリプルは馬場の真ん中辺りから抜け出し、それに馬体を併せて迫るのがリアルバースデー。
ロングシンホニー、ウィナーズサークルがその後方から追ってくる。
さらに外からはサーペンアップ。

スタンドが沸き立つ。
その視線の先にあるのは先頭争い……だけではなく、大外からぐんぐん追い込んでくる巨体にあった。

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