PiPi's World 投稿小説

駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 268
 270
の最後へ

駆ける馬 270

春先と比べて体質も脚元の状態もしっかりとしてきたこともあり、澪の進言に瀬戸内も了承し、オグリキャップは中央で初めて先行策を取ることが決まった。

ジャパンカップ、海外からの最大の大物はトニービン。
このレースで引退することが決定しており、来年からは日本で種牡馬入りすることも決まっていた。

今回はそのトニービン以外はやや小粒感があり、それに次ぐ実績馬がインターナショナルステークス勝ちのシェイディハイツ。
2年連続の参加となるムーンマッドネス。
他の外国馬はニュージーランド最強級と言われるボーンクラッシャー、ドイツからはコンドル、アメリカからはマイビックボーイ、ペイザバトラー、セーラムドライブ。

日本勢はランニングフリー、メジロデュレン、スズパレード、ゴールドシチー。
海外勢も日本勢も小粒とあって、ファンの注目はタマモクロスとオグリキャップに集中していた。

人気は1番がタマモクロス。
天皇賞のあの勝ち方を見れば、このメンバーなら当然と言う所。
続いてが海外勢の総大将トニービン。
オグリキャップはやはり、天皇賞の惜敗が響いたのか3番人気となっている。
ただ海外でも騎乗経験のある澪からすれば、無名と言えど海外勢は侮れないと見ていた。

オグリキャップの出来は申し分ない。こちらとしては迎え撃つだけだ。

直前にスカイチェイスとアワーズアフターの2頭の外国馬が出走を取り消し14頭立て。
スタートは各馬まずまずと言うところで、先手争いはメジロデュレン、ランニングフリー、シェイディハイツ。
シェイディハイツは日本人オーナーの所有馬で鞍上には柴原が跨っている。

そして4番手、スズパレードの外にオグリキャップ。

タマモクロスとトニービンの有力2頭は後方から。
天皇賞とは違い後ろからの競馬となったタマモクロスだが、オグリキャップが先行したからと言うより距離延長もあってゆったりとレースをしたいと言う考えからのものだった。
むしろ南にとってもオグリキャップの先行策は意外だったのだ。

ただ、運命の悪戯か・・・
前に行ったオグリキャップの方が厳しいマークを受ける事になってしまったのだ。
明確な逃げ馬不在とあって先頭に立ったメジロデュレン。
それに続くランニングフリーやシェイディハイツもタマモクロスが先行すると見ての戦術だったが、その包囲網に逆にオグリキャップが入ってしまう事になった。
更にオグリキャップの外側から巨漢馬マイビックボーイが被せるように寄せてきた為に、窮屈になったオグリキャップのペースが乱れてしまったのだ。

無論、澪にとってもこれは想定外だったが、それでも何とかするのが騎手の仕事だ。
先行策をスッパリと捨て、バックストレッチでやや位置を後ろに控える。
これがズルズルと下がったように見えて、スタンドからどよめきが上がる。

思い描いていた展開にはならなくて、想定外の戦法を取る形にはなったが、もちろん澪はレースを捨てたわけではない。

いったんポジションを下げたオグリキャップの外にタマモクロスがいて、さらに外から上がっていったのがペイザバトラー。
ペイザバトラーはマイビッグボーイとともに先団に上がっていったことからペースが目まぐるしく変わる。

先団が固まった状態で大欅の向こう側を通過する。
前を行っていたシェイディハイツやメジロデュレン、ランニングフリーなどの手ごたえが徐々に怪しくなり始め、変わって外からマイビッグボーイ、ペイザバトラー。
タマモクロスはそれに乗じてオグリキャップよりも早めに進出を開始した。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す