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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 267

オータムリーヴスはマイルが適距離だろうと言うのが陣営の認識である。
ただオークスでも好走した通り、クラシックディスタンスまでこなす事もできる。
とは言え、スタミナ勝負はしたくない。
特に逃げるのはスタミナ勝負に持ち込みたいプチソレイユだ。
深追いせず脚を溜める事に徹するつもりで内側を走っていた。

逆にプラニフォリアはスタミナ勝負は望む所。
更に言えば瞬発力勝負に持ち込めばそうは負けない。
秋華賞ではミヤマポピーにやられたとは言え、タイミングさえ間違わなければ差される事は無いと的家も自負している。

そんなそれぞれの思惑を乗せながらバックストレッチに差し掛かる。
ここまではプチソレイユがスローペースで引っ張る展開。
シヨノロマンやオータムリーヴスは無理に追いかけない。
そんなスローペースに少し焦れたアラホウトクが掛かり気味に中団から先頭集団に追いついてくる。
その動きで中団から後ろの馬が騒めき、プラニフォリアもややナーバスな様子を見せた事に的家が苛つく。
後ろの馬にとっては余りいい感じではない。

的家は同じように苛つくプラニフォリアを宥める。
スローな流れだとしても、最後には脚を届かせられる自信はあるし、プラニフォリアにはそれだけの力があると信じている。
その後ろでじっくり脚を溜めているミヤマポピーもそうだろう。

京都芝外回りのポイント、坂を登ってから下っていく3コーナー付近。
ここでレースが動く。
淡々と逃げるプチソレイユにアラホウトクが並びかけてきたのだ。

掛かってしまったアラホウトク。
無視するには厄介な実力馬だ。
熊崎はプチソレイユのスピードを少し上げる。
多少スピードを上げた所で豊富なスタミナを持つプチソレイユにとって問題はほぼ無い。
だが、どうしても勝ちたい熊崎の焦りが想定よりも早い仕掛けとなっていたのも事実だ。
ペースを上げながら4コーナーを下り降りていく。
それに追随するようにシヨノロマンとオータムリーヴスが差を少し詰める。

この2頭にとってもやや想定外のペースアップだった。
だが、澪の方はここが勝負所とペースを上げ、悠はもう少し溜めたかったものの、ついて行かざるを得なかった。

このペースアップはプラニフォリアと的家にとっては好都合。
この状況に的家は振り向いて後ろを確認する。
ミヤマポピーの位置を確認したが、まだ後ろで動く気配は無い。
恐らく直線勝負に徹するつもりなのだろう。

ペースが徐々に上がりながら淀の坂を下っていく各馬。
外回りの4コーナーに差し掛かるところで先頭のプチソレイユ、アラホウトク、さらにシヨノロマンとオータムリーヴスの4頭が横一列に並ぶという光景が出来上がる。
勝負はここからだ。

早仕掛けでもまだスタミナを残すプチソレイユ。
道中で掛かったアラホウトクは若干苦しく、代わって外からシヨノロマンとオータムリーヴスが交わして先頭を奪いにかかる。

だが、仕掛けが早かったとは言えプチソレイユのスタミナは十分残っている。
熊崎の鞭に応えてグイッと伸びて先頭を譲らない。
対するシヨノロマンやオータムリーヴスもスローペースで脚を溜めてきた。
プチソレイユに並ぶ勢いで追走していく。
更にアラホウトクも限界ながら必死に食らいついていた。

前の馬が頑強に競り合う中、後続も一気に詰めてくる。
大外をぶん回しながら加速するミヤマポピーは秋華賞の再来とばかりに末脚を伸ばして先頭集団を伺う。
そのミヤマポピーよりタイミングを遅らせてゴーサインを出したプラニフォリア。
名手的家がインを捌きながら馬群を割っていく。
その加速はミヤマポピー以上だった。

直線半ばで先頭はプチソレイユ。
1馬身離してシヨノロマンとオータムリーヴス。
猛然と追い込み、距離を詰めるミヤマポピー。
そしてインを割り、プラニフォリアは鋭く伸びてくる。

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