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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 261

オータムリーヴスの戦術は好位抜け出し。
直線までに先頭集団を捕まえて、いい位置で抜け出して粘り込む。
スタミナ勝負や切れ味勝負だとプラニフォリアに勝てないだろうが、早めに抜け出せばスピード能力に勝るオータムリーヴスに勝機があると悠は見ている。

逆にプラニフォリアはオータムリーヴスの仕掛けを待ってからだ。
的家は今回もオータムリーヴスをターゲットに定めているが、これはレースを動かすのがオータムリーヴスであるからどの騎手も同じだろう。
シヨノロマンの澪とて、オータムリーヴスとの位置関係を意識して乗っている。
そして追い込み勢はオータムリーヴスが動いた後のプラニフォリアを見ている。
つまりこの2頭の動きがレースを左右する訳だ。

レースはキャッチミーのハイペース逃げで、早い展開で進む。
後続は少し離れての追走。
プラニフォリアとしては好都合。
オータムリーヴスはやや下げ気味ながらもタイミングを見計らっていた。


1000mの通過が58秒台前半というハイペースで逃げたキャッチミーは4コーナー手前で脚色が悪くなり、2番手のマチカネイトハンが捕まえに行く。

ここでまず動いたのがシヨノロマン。
マチカネイトハンのすぐ後ろに位置していつでも交わせる手ごたえ。

オータムリーヴスは依然中団あたりでジッとその時を待つ。
その外にアラホウトクが仕掛けて並びかける。
プラニフォリアもまだ動かない。
的家にとっては好都合な展開できているが、そのプラニフォリアにはミヤマポピーがずっとマークし続けていた。

そして4コーナー。
坂を下ってコーナーの半ば。
オータムリーヴスが前方に進出する。
それに合わせるように後方集団も動き始める。

そのオータムリーヴスを見て先に仕掛けたのがシヨノロマンと澪。
オータムリーヴス以上に切れ味勝負に分が悪いシヨノロマンだけに先に抜け出すのは必須の条件。
流れは想定以上に早かったが、2000mなら粘れる脚はある。
その自信と共に直線に入ってすぐ先頭に立つ。

それを見るオータムリーヴスは3馬身程の差。
やや内側の開いた所を走って差を詰めようとする。
悠の想定だと、直線の半ばでシヨノロマンを捕まえて並べる。
並んでしまえば気力を奮い立たせられるタイプだけに好位置と言えた。

プラニフォリアはそのまだ後ろ。
だが、この位置なら十分瞬発力勝負を挑める。
あえて外に出したのも、並ぶと粘れるオータムリーヴスに並ぶ間を与えない為だ。

澪、悠、的家がそれぞれ理想的なレースを進めて入った直線半ば。
シヨノロマンが先頭に立ち、オータムリーヴスが追いかける。
その差はもう半馬身。

必死に踏ん張ってほしいとシヨノロマンを激励する澪だが、オータムリーヴスは一完歩ずつ迫っていき、直線半ばでついに並ぶ。
ここから突き放したいオータムリーヴスだが、その後方にはもう刺客が迫っていた。
プラニフォリアだ。

的家が一発気合を入れると持ち前の切れ味が炸裂。
粘るシヨノロマン含め三つ巴の争いに…

と思われたが、そこにもう1頭が割って入ってくる。
ミヤマポピーだ。

ミヤマポピーの松井田にとって、久々の大舞台。
最早キャリアも終盤に差し掛かっているのは自分でも理解している。
勝利数も乗り鞍もかなり減り、次のキャリアを意識し初めていた頃だ。

そんな松井田が久々に巡り合った重賞級の馬。
兄はタマモクロスと言う血統。
その豪脚は兄譲りだ。

前走のローズステークスこそ負けたものの、枠順や展開の不利があっての事。
今回は絶好の枠順かつ、待ち望んでいたハイペース。
プラニフォリアが仕掛けるのを待ち、大外をぶん回して追いに追いまくった。

そのプラニフォリアは残り100mで粘るシヨノロマンとオータムリーヴスを並ぶ間も無く抜き去る。
だが、その大外を3頭纏めてミヤマポピーがぶっこ抜いたのだ。

してやったりの松井田。
澪、悠、的家はそれぞれベストのレースをしての敗戦。
三者三様の表情で悔しそうに戻ってくる。
だが、これが競馬と言うものである。

勝ったミヤマポピーを始め、オータムリーヴス、プラニフォリア、シヨノロマン共に次走はエリザベス女王杯。
世代最強決定は次に持ち越しとなったのだ。

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